感想 青稀シン 『ねこぐるい美奈子さん』4巻

ねこぐるい美奈子さん 4 (ヤングジャンプコミックス)

ねこぐるい美奈子さん 4 (ヤングジャンプコミックス)

 大体の内容「溺愛。なんと聞こえのよい言葉か―――」。猫溺愛過ぎて見てる方のSAN値ガリガリと削れたこの漫画、それが『ねこぐるい美奈子さん』なのですが、この巻で一応の終了の形となりました。正直に申しませば、1巻の横溢し過ぎて旧支配者のSAN値すら下げかねない強度の狂度に比べると、4巻のそれはましなレベルでありまして、この感じを維持出来ないからこその終了なのか、と思ったりしたりもしました。タカミチ店長が出てきた辺りからはねこぐるいではなくなってる部分も強かったのがその原因でありましょう。タカミチ店長にスポット当たり過ぎてましたしね。それでも男対男のキスシーンとか誰得の映像が延々流されて驚愕でした。でも、そうじゃないだろ! ねこぐるいじゃないと駄目だろ! という叱咤の言葉が自然に出てきます。その猫に対する狂度の行動がこの漫画の味じゃなかったのかよ! そりゃ、SAN値は減るけど、減らしたいんだよ! という言葉すら湧いてきたのは不思議でした。もう戻れない位置が来るッ! って状態だったのかもしれません。
 しかし、この漫画は『ねこぐるい美奈子さん』です。最後の矜持は残っていました。それがしゃむりん達がその界隈のボス猫の所に行った回。「進撃の巨猫」です。もうこの題の段でどうなるかが大体分かった。と門矢士台詞が出てくるでしょうが、その大体分かったを超越する、美奈子さんの恐ろしいまでの猫襲撃*1の映像。『進撃の巨人』アニメスタッフに作ってもらったら相当のトラウマ映像になるのが間違いない、というか、この漫画の絵でも既にトラウマになりそうな狂度で、喧嘩しなくなる以前に界隈から猫が大挙していなくなりそうでありました。ここのSAN値削り量は相当でしたよ……。この巻ではあんまり狂ってなかったから油断してたよ……。
 という一瞬の油断を突かれた後のそういう危機に対する身構えは、それ以降はそんなにゲインしないので無駄、と思ったか? 甘ェ! という青稀シンてんてー最後の一撃が、この漫画の正気担当の飼堂さんの美奈子さんラブが募り過ぎての美奈子さん化、ぐるい化でした。あの、美奈子さんに気があるという展開にされたのすら気の毒に見えた飼堂さんが、まさかの、でありました。その美奈子さんへの気持ちの募り具合が普通の漫画ならまだマシな映像なんでしょうが、この漫画は『ねこぐるい美奈子さん』なのです。だから、ああなるのです。他の動物ぐるいの人も、ぐるい化していましたが、やはりこの漫画の世界の人は好きになり過ぎるとぐるうのです。それを見せ付けられる形になりました。この段になって、俺達の正気は何処に行ってしまったんだ。というか今の俺はこの人のように既にぐるいなのでは? 飼堂さんのように感染めいた状態に達したのでは? という恐怖の視座を与えられたまま、オチに向けて疾走していきます。そして最後の美奈子さんドアップ。それを見て、良かった良かった、と思うと同時に、この狂顔で良かった訳あるか! という気持ちも沸いたのでたぶん、俺はまだ正常です。正常なんです!
 とかなんとか。

*1:一応喧嘩を止める為みたいだけど、どう考えてもそれが後ろに追いやられて猫に襲い掛かるのに注力してる。あれはあれで美奈子さんの愛なんだろうけど、けど!