感想 川井マコト 『幸腹グラフィティ』2巻

 大体の内容「高校生になりました」。リョウさん、きりん、椎名さん共に、この巻で高校生となりました。その過程できりんがりょうさん家に下宿する事になったり、リョウさん家の下の階の人と知り合ったり、それが学校の司書の先生だったりと、色々と人間模様にも変化が生まれていますが、それでも女の子、食う! という基本は全くかわらないどころかよりパワーアップしており、それが全く頼もしい、流石の『幸腹グラフィティ』2巻なのです。
 この漫画の基本は、先にも言いましたように食う事です。女の子が、食う事です。そしてそれに付随する色々な事柄に笑ったりほっこりとする事も、やはり基本であります。今回もその両輪はきっちりと駆動しており、それによって安定度とキャッチーさが両立するという局面が多々あったりします。女の子がご飯を食べるだけ、というのにこの強力な物を感じるのは、やはりそれだけご飯を食べるという行為に力があるという証左であり、そしてそれを女の子がする、という事がその力をキャッチーさに鰻昇らせるのです。という戯言はさておき、そんな訳で、今回もリョウさんが色っぽく、きりんがパワフルアニマルに、椎名さんが美しく、それぞれ食べるのですが、そこに新キャラとして登場の内気の内木先生が奇妙奇天烈に食う、という新たな新次元(重複表現)を見せて、この漫画の底が一段上がった形になっております。内木先生の食い方の奇妙奇天烈加減は、下の画像を見ていただければ良く分かると思います。


何だこの先生

 正直リョウさん達の食い方も変なパワーに溢れているんですが、先生はそれが更に暴発してる感じです。この前段階でリョウさん達の食べ方、感じ方に内木先生が凄い凄いってコメントしていって、それで先生の番でこれなので、そりゃ椎名さんも上記台詞を言うわ。という感想も自然と出てこようものです。ただ、やっぱり内木先生のリアクションはちょっと突飛なので、そんなに毎度毎度出て来ないのが、バランス感覚というものであるなあ、という見方も可能かと思います。
 さておき。
 今回のベストエピソード&喰いっぷりは椎名さんのカツサンドの回。エピソードとしては、受験なんて一人の力で受けるものでしょ、という椎名さんが、露子さん(椎名さん家のお手伝いさん)のお手製カツサンドを皆と一緒に食べている内に、リョウさんのこのカツサンドで応援してもらってますよ、という台詞で、一人じゃなかったんだ、と気付く話なんですが、そこはきっちり笑いの要素もきっちり入れつつ、食事ターンもしっかり入れつつ、というバランスの良さも際だつ回でありました。特に三人が食ってる時に発せられるパワーに、丁度神頼みにお参りに行ってその境内で食ってたんですが、そこの神官さん達が「何だあのオーラ!?」って驚いてる所とか、いつもの食事ターンに更に一捻り入れた笑いを生む形になってたのも素直に上手いといえる出来栄えです。


オーラとか出てるんだ

 この後に椎名さんが試験のあるリョウさん達にカツサンドを、という展開があるんですが、そこでの食事の時のテンションがいつもと違って静かで、それだけの緊張とかがあったかと思えたのと、その椎名さんのカツサンドに力を貰ってる感じが出ていて、それが露子さんの時みたいにとてつもなく、ではないんだろうけど、でもだからこそ力が貰えたなあ、って感じてるのがいいとこです。先のカツサンドでオーラ出した後にこれ、というそこも含めてこの回は優れていると言えます。他の回も面白いので、今回の巻もデカイ当たり引いたなあ、という感じる、そんな『幸腹グラフィティ』2巻なのでした。