感想 増田英二 『実は私は』3巻

 大体の内容「アホの子は可愛い!でも、可愛いけどさあ!」。帯でアホ可愛いを押し過ぎてこの漫画の立ち場が変な方向に行っている感が爆裂していますが大丈夫なんですかねー! 人外系ラブコメという方向で押すと、どこかのモンスター娘漫画と噛み合ってしまうというのがあるのかもしれませんが。でも、そっちで推すのもどうなんですか!? そんな気持ちも都度都度感じてしまうのが『実は私は』3巻なのです。
 実質面では、アホ成分というより迂闊成分の方が高めなヒロイン、と言えるこの漫画ですが、今回はその迂闊さが都度都度出てきておりました。ケーキバイキングの回などが特にそれですが、こういうのを見れるようになった、というのが白神さんの生活の潤いが増しているという受け取り方をすると、成る程、いい話じゃねえか。という感じ入りも出来たり。迂闊だったがゆえにそれを隠す為に周りと線を引いてたから、引かなくても良くなった今の学校生活が楽しい、ってのがねえ。それだけ、今までが寂しかったんだろうなあ、と理解できるとねえ。朝陽は良くやった、というべきなんでしょうね、この事案は。
 そんな朝陽のラブジェネレーションは意外な程込み入ってまいったのも、この巻の特徴でしょうか。みかんさんが外道スイッチ入れてないと、とか、藍澤さんが偶然告る形になって戸惑ったりとか、一気にぶち込まれてきており、状況はかなりの錯綜具合を呈しております。どっちもそれっぽいというのは匂わされておりましたが、にしてもここで一気に収穫祭! とばかりに回収し始めたのはこの漫画の進む道からすると急速とも思えますが、いつまでも気があるんだか無いんだか良く分かってない白神さんのまま、という訳にも参らないのだぜ? という雰囲気とも感じてみたり。10年代の週刊少年チャンピオンに掲載のラブコメですからね、この漫画。何時までも同じところを回るような時代じゃねえんだよ! って事ですよ。たぶん。
 とはいえ、やっぱり登場人物の皆さんとしてはいきなり過ぎる展開ではあるよな、とも。特に藍澤さんは巻き込まれただけなのにいきなり自分の気持ちに直面させられる展開であり、ここでどういう答えを導きだすかが今後の焦点になりそうな雰囲気です。このまま気持ちを見つめられるのか、それともそんな馬鹿な事はと、うっちゃるのか。どちらにしても起点だったはずのみかんさんの方がどスルーされている点に不憫さを感じずにはいられませんけどね! 何でこのタイミングで蚊帳の外やねん! まあ、本人的にはそういう仲とか無いからって思ってるし、しょうがないかもしれませんが、ってもねえ。外道キャラを不憫に思う時が来るとはねえ。
 さておき。
 好きな話は狼男、紫々戸さんとの腹を割って話す回。ある種の二重人格キャラである紫々戸さんの、その人格がどういう風になっているのか。というのをこういうのありじゃね!? ってやってしまった回であったかと思います。紫々戸さんとしては大変魅力的な状態というか、二つの人格が共存できる道としてはありじゃないか、とも見えなくも無いんですが、だからって女性の股間が男性の意識を、って無茶苦茶過ぎます! エロイんだか馬鹿なんだか良く分からないけど結局おぞましい何かです。それが面白かったんですけど、トリッキー過ぎるよな……。
 とかなんとか。