感想 沼江蛙 『ゲキカラ文化交流』1巻

ゲキカラ文化交流 (1) (まんがタイムコミックス)

ゲキカラ文化交流 (1) (まんがタイムコミックス)

 大体の内容「文化交流? ハハッ」。日本の女子高生みゆきさんは、友人の林君にカレーって子供っぽいよねと侮辱され、その怒りを持て余して駆け回り、気がついたらカレー屋に到着していました。当然のように入り、そのカレー屋で店員アイシャさん(インド人)と常連客キャサリンさん(イギリス人)と遭遇します。そこから織り成される、何かがおかしいノリの漫画。それが『ゲキカラ文化交流』なのです。
 文化交流、と書いてあるので文化違いネタ漫画と思われる方もいらっしゃるでしょうが、その辺はさにあらず。と言えるくらいに、文化の違いがどうのうという漫画ではありません。というか基本的に日本文化ネタ以外は無いと思って差し支えありません。たまにインド文化ネタもありますけど、本当にたまに、で、季節ネタは日本のそれしかしません。それで何故文化交流を名乗っているのかと言う疑問は当然浮かび上がってきますが、この場合の文化交流というのは、人間同士のぶつかり合いみたいな雰囲気で感じたらいいのではないか、というくらいに、皆が皆、謎の鋭角の切れ味を持ったボケ具合で攻めてきます。
 みゆきさんはカレーが絡むと基本的に人の話が効かない類の人物で、よくカレーという語によって訳の分からない行動、言動が飛び出します。


 カレーはそもそも戦わない

 アイシャさんは色々と分かってボケるタイプで、多分この漫画で一番厄介な人です。ただボケが偶にツッコミ役がいない場所で行われる為、収拾が付かない形になったりして、それもまた厄介。


 トホホて

 キャサリンさんは他の二人よりはツッコミとしての濃度が高い真面目な人ですが、そこそこの頻度で変な事も真面目に言うので大変困った人です。この微妙なツッコミの脆弱性もこの漫画の特徴に一役買っているのかも。


 むしろよく義経知ってたな

 そんな三人がただカレー屋で交流というか衝突というかするのが、この漫画、と言えます。そこからあふれ出す雰囲気は、だからどうしても妙というかおかしいもので、素直にボケボケの漫才漫画というにはツッコミが弱く、だからってコントとか言うには状況性が低い。偶にボケが亜脱臼するし、ツッコミがおかしい時もある。だから、全体的にかもし出す雰囲気が「何かが狂ってる」、という一語で放言するしかない。そんな漫画なのです。そのせいで、ある種中毒性すら持ち合わせており、自分はその毒にあてられてしまいました。一話試し読みもあるので、少しでも興味があるなら見てみるといいかと思います。一話の時点で大体の要素、ノリは出ており、ああ、おかしいわ。と思っていただけるかと思います。
 最後に好きな回の話でフェードアウトして行きますが、珍しくサリーを着たりするという文化交流的な行動を取った回がお気に入りです。キャサリンさんのサリー姿可愛い、と思っていたらアイシャさんの野望が発露したりして、やっぱりこの漫画おかしいわ。としみじみ感じ入った回でもあります。主人公になりたい、ってある意味メタ発言ですが、特にプランも無かったのが幸いしてすぐに終わって残りは別の話してましたしね。この突然の断絶感!
 とかなんとか。