感想 茶菓山しん太 『チェリーブロッサム!』3巻

チェリーブロッサム!  (3) (まんがタイムKRコミックス)

チェリーブロッサム! (3) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「新学期、新学年、新キャラ!」。わりと時間の進みが早いこの漫画ですが、今回は新学年に進級して、そして妹ちゃんが大咲達の学校に、と言うのと同時に新キャラがズバーン! と登場する形になっております。その新キャラ元住吉三葉が、旋風を巻き起こす、ように見えて案外元のまま。それが『チェリーブロッサム!』3巻なのです。
 とはいえ、三葉によってつばきさんが混乱のるつぼに叩き込まれ、それに引っ張られる形で大倉山先輩も渦中に紛れ込む形になってきております。つばきさんは明確にラブってるし、妹ちゃんである沙咲野はブラコン行き過ぎぃ!だし、綱島先輩はライクが案外ラブに繋がってるめいているし、大倉山先輩は意識してる部分あるし、三葉は良く分かってなく結婚したい位とか言い出すしで、つまり、大咲の周りに大咲の事が気になる娘わんさか状態になっているのでありまして、結果大咲殺すべし! イヤーッ! という言葉が我々から発されるのはしょうがないと思われます。うん、しょうがないんだ。彼はハイクを詠んで爆発四散してしまうべきなんだ。ふふ、ふふふふふふ。←グルグル目
 冗談はさておき。
 今回の巻の要諦は三葉登場とみんなの気持ちの行方ですが、時間は油断なく進んでおり、結論をいずれ出さないといけない時間になっているのを感じます。こっから時間の進みが遅くなっていくだろうという予感も。というか、実際夏の合宿をじっくり時間掛けてやってる段階において、今後はゆっくりじっくりしていくんではないか、という風に見えてきます。それだけ皆の気持ちが絡まった糸のように交錯しているのが、今の『チェリーブロッサム!』とも言えます。っても、基本的には楽しい学生生活! という点は抜かりないので、単にそういう方向性で、青春楽しいですよね! で見る方が自然な行動なのかもしれません。あるいは、どっちも十分に摂取して、楽しめばいいのです。
 訳分からん事はさておき。
 まず、大きなファクターの三葉ですね。“ッス”子ってのはこう、気安い感じがたまらなくいいです。敬語になってない“ッス”を敬語的に使う事によって生まれる、近いんだか遠いんだかな関係ってのが、ね。その上で好き好きを隠さない辺りが、かえって本心で好きなのか、という疑問も浮かび上がらせて、でもやっぱり好きではあるから、つばきさんが混乱しちゃった訳でもあり、つまり一石としては高いパフォーマンスが、“ッス”にはあるなあ、という風に思いました。この漫画の凝り固まりそうな所をぐるっと掻き混ぜたのは、実にいい仕事ですが、それでも大咲は誰の気持ちにも気付いてないんだから、ハイク(略)。後、妹ちゃんを園芸部の中で浮かせない為のワンクッションって側面もあるのかな、とも。案外人見知りする三葉と、園芸部の面々とは面識が既にあるから距離も近い妹ちゃん、というのでコントラストって感じ。でも、妹ちゃんが馴染んでるから、あっという間に三葉も馴染んで、という風でしたね。慣れれば、案外人好きするのが三葉のいいトコであるなあ、とも。若干、園芸部内では存在感薄めに見えるけども!
 さておき。
 みんなの気持ちは色々と交錯しているなあ、というのは先に書きましたが、特に合宿での人工呼吸相手の話で色々脱線してた辺りは良かったですね。大倉山先輩スキークラスタとしては、基本エロいのに自分が絡むと途端に弱くなるという、大倉山先輩の固有スキルが綺麗に絡まって錯綜しており、そこが大変良かったです。そこ以外でも大倉山先輩はいい味だしてましたけども。つばきさんを激励しようとしたら大錯綜していると分かって動揺するとことか、雨宿りの場で状況が錯綜するとこでぼんやり凹んだりするとことか、この人影の主役じゃね? というオーラが出ておりました。大咲より、そっちのが華があっていい気もします。
 さておき。
 この漫画は今後どういう風になっていくのやら。皆がひどく傷ついて、とかも無い訳じゃないだろうけど、どうなるやらね。とにかく楽しみですが、連載がちゃんと再起動してくれれば、それだけでも満足ではあるんですよね……。大丈夫なのかなあ……。
 とかなんとか。