感想 ヤス 『じょしらく』6巻

 大体の内容「お後がよろしいよ……う……で……?」。帯の惹句の段階で後を濁しまくりであるのが予告されており、さて、どういうやつするんだろう。と思ったらの、なんだよこれ! なエンディングを迎えた、それが『じょしらく』6巻なのです。
 大体において何かが狂ってる感じな巻が、この6巻最終巻です。久米田漫画としての定番である一ネタを色々といじる方向性も、今回は特に危険度が高めになってきており、且つ久米田せんせの基礎パターンというか手癖である列挙ネタも露骨に出てくる為、絵だけ違う久米田漫画、という部分が更に明確且つ鋭角となっているんです。どこがおかしい、というと今回は全部な辺りでこの巻がとてつもない、というか端的にヤバイとしか言い様の無い、とにかくとち狂った回ばかりで、マジでどの回を取り上げたらいいのか、あるいはどう語ればいいのかに悩む巻であります。こんなの絶対おかしいよ!
 そんな中でこれは、というのを無理やりすれば「四十三日目/突ギレ」と「最終日/終末の極意」でしょうか。
 「四十三日目/突ギレ」は、単純にまたバレンタインデーすると思った? 残念! もっそう祭りでした! という事で突如もっそう祭りフューチャーから、更に一転、一酸化炭素中毒になる回でした。途中すっぽり抜くと全く意味不明になるんですが、この6巻最終巻では基本的にそんなのばかりなので慣れてしまうんですよね。その辺りがとんでもないです。
 さておき、この回を取り上げたのは、すっぽり抜いた部分と一酸化炭素中毒部分で今までと方向性が違うネタがあったから。抜いた部分では久しぶりに出た伝家の宝刀、「つまんねー事聞くなよ!」が出てきた事。あんまりにどん詰まりになったのでとうとう抜かれました。今までこうもネタ的にどん詰まりになってくる回が無かった、というのは逆に言うととんでもないのではありますが、だからってこの刀を抜く為にネタに詰まって見せたのではないか、という疑念すらふっと湧くんですよね、今までのこの漫画のテクを見ると。そんな事が出来るのか!? と思うので、単にネタ本当に詰まったんじゃねえのかと思いたいですが、しかし久米田天帝ですからね……。疑って損はない。後、一酸化炭素中毒部分でのは、完全に下ネタじゃねえか! というのでした。5巻でもアスに菊という婉曲表現的下ネタぶっこんできましたが、今回は更に明確に下ネタで、そういえば久米田天帝はホッケー漫画という名の下ネタ漫画を描いていた人であったなあ、という記憶がふっと湧いてくるから困り者。そんな部分すらさらけ出してくる、ってとうとうこの漫画における限界に到達した感もあります。
 「最終日/終末の極意」は、先にもなんだよこれ! って書きましたが、再度見ても問題作で、まさしくなんだよこれ! な内容でした。是非色んな人が見て、なんだよこれ! を呟いて欲しいので内容について詳しくは書きませんが、一言だけ述べると、つまり、時が経てば帰ってくるってのかい!? って感じでしょうか。本当に帰ってきて、今回のネタを昇華してしまったらそれはそれで無茶苦茶なんですが、それもまた見てみたい味が、この最終回には付属されていました。巻が進むにつれて無茶苦茶だったけど、それがこういう風に収束したのは、なんだかとっても、ありがてぇじゃねえか……(泣)。と泣きが入るくらい、無茶苦茶でした。色んな意味においてぶん投げてるからなあ……。
 とかなんとか。