感想 えのきづ 『桜乃さん迷走中!』2巻

桜乃さん迷走中!  (2) (まんがタイムコミックス)

桜乃さん迷走中! (2) (まんがタイムコミックス)

 大体の内容「桜乃さん、生活中」。1巻の段階(1巻感想)では相当にクズい感じだった桜乃さんですが、元々1巻後半でも若干マシというか、まともな生活になっておりましたので、この巻はその延長線上で、ちょっときつきつで居候中だけど、何とか生活してるよ! と言う内容。それが『桜乃さん迷走中』2巻なのです。
 キャッチー具合というか、キャッチコピー的な部分であった公園生活かーらーのー居候生活が更に進展したというか、板に付いたのがこの巻における桜乃さん。そういう意味では、この子大丈夫なんだろうか感は大分息を潜めて、わりと普通に見れる漫画になっております。クズさ加減も生活が安定して居候としてもアルバイトとしても安定してきたので、かなりハラハラ感がなくなっております。安定してきたという言葉がまさしく正解なんですが、1巻にあったあのハラハラ感とクズいさ加減はこの漫画の駆動系として強力なものだったので、それがなくなっているというのは、若干普通になりすぎているのでは、とは思うんですが、そのまま突き抜けていっても先は無い方向性でもある為、今の状態はそれはそれで落とし所としては丁度いいのかなあ、と。その劇薬部分が無いのが物足りないとは言っても、大江さんの本を全く読み進められないとか、一年が空費されたとか、そういう部分はない訳でもないのではありますけれども、きついのも欲しい。とはいえ、こっから更にきつい展開ぶっこまれたら、もうファミリー4コマでは不可能というかされても誰得の展開しか残ってない訳でもありまして、その辺がまさしく痛し痒しであります。
 さておき。
 結構ゆるい生活物になってきた『桜乃さん迷走中!』ですが、それが色濃いのは格安旅行に行ったら霊が出る部屋に! の回と水沢さんが料理出来ないの回の二つ。
 前者はちょっと小金があるから旅行に行こう! という家出る為に貯めとけよと思いつつ、でも格安なら、かなとか思ってたら霊が出る! という話になっていくんですが、そこでの桜乃さんのポジティブさが他の二人より際立っており、景色! 料理! 風呂! でテンション上げて寝たら他の二人は金縛りだったのに桜乃さんは全然効かなかった、というのでやっぱり桜乃さんは変な所凄いんだなー、とか思ってたら、結局霊がいたよ? って言われてぶっ倒れ落ちするという、コメディらしい落ち具合でした。ある意味この漫画の味わいがありつつも状況はその方ではなく変転はしているというのが良く分かる回であります。
 後者は良くある話過ぎるくらい、水沢さんが料理が出来ないというのを作らせたら全然ダメ! というのを推す回。こういう料理失敗物(何その括り)ではオーソドックスな話でしたが、水沢さんがおたまと大匙の違いなんてわかんないんだよ! って軽くキレてたのと、桜乃さんが矯正出来そうにないからと最終的に卵ご飯作らせて終了にさせる辺りの根をつめない部分がしっかりこの漫画っぽいなあ、とか。それ以外は本当にオーソドックスでした。それゆえに、この漫画が今どういう状況下か、というのが分かる出来栄えではあります。あるいは、終わり際になるまでこの漫画はこの変にゆるい世界のまま展開されるのかしらねえ、とか思うのでありました。