感想 木々津克久 『名探偵マーニー』6巻

 大体の内容「今回はマーニーに任せていいのか?」。今までもそれなりに大事には絡んでましたが、今回気がつくと、マーニーが処理する仕事がより大事になり始めている、それが『名探偵マーニー』6巻なのです。
 大事が多く感じるのは当然で、今回は殺人事件に絡むのが二回もあるのです。今まで現実的な探偵を維持してきたのに、それが崩れたか! という事はなく、あくまでお手伝い程度且つ現実的な探偵の範疇なんですが、それでもやっぱり大事なのは変わらない訳で、このままいくとマーニーは本格的なトリックの殺人とか解決させられるんじゃねえか、という邪推も湧いてきます。そこは木々津せんせなので、単純にはならないだろう、と思ったら実際に今回の一つの殺人事件はマーニーの手でトリックが暴かれたりします。それも、推理小説というかあれか、新本格か、とかだとやってはいけないだろう手で。その辺をしれっと、でも現実的に密室殺人の解ってこうですよね。する木々津せんせの腕には相変わらず脱毛です。ありえるし当然なんだけど、そこになんの臆面もてらいもない! 流石です!
 さておき。大事は解決の方だけではありません。巻き込まれる方向でも、大事が頻発します。メカニックの手先を追いかけて大立ち回り&骨折したり、通り魔を捕えたり、誘拐されたり。特に誘拐は一歩間違えれば大問題になる所で、でもなんとかなる辺りが普通にミラクルな回でした。マジで警察介入してたし、あれだけ騒いで首謀者にお咎めなし、っていいのか? とも思いますが、サプライズだったんだよ! なら民事不介入か。そしてこの回、その首謀者とマーニーの関係とかが明確になって、今まで謎だった母親との関係という部分がちょっと分かったりしております。生半にはいかんなー、と思わせられるものでしたが、その後でもまたその母親とちょっとした絡みがあって、やっぱり生半にはいかないけど、ちょっと変わったのかな? って思わされる部分も。この辺が今後にどう影響するやら。
 ついでに言うと、誘拐されてヘルプ! で警察他、色んな人が動いてたのを見るに、マーニーの影響力というのも地味に大きくなってきているのかなあ、とも。特にゆりかちゃんがてけとーながら気には掛けてる描写があったのが良かったです。なんのかんので友達ではあるんだなあ。てけとーだったけど。まあ、ゆりかちゃんだしね……。おまけで勝手に依頼を1万円で受けて5千円ピンはねする気まんまんだったりしたしね……。本当にクズいよね……。
 さておき。
 今回はメカニック絡みが結構あったり。その内の一つ、file52「通り魔その後」はメカニックの意図不明の意図によって、マーニーに深い影響を与える回になっていました。マーニーのとった行動は、法の中の人なら当然の行動なんですが、それがむしろマーニーが考えさせられる事になっているのが悪辣です。何がしたいんだ、メカニック。そこはこの漫画の基礎として地味に積み上がってる訳ですが、そこにマーニーが絡める意図がわからん。そもそも、メカニックとの関係自体良く分かってないのもあって、混乱させられます。
 それにしても流石木々津せんせです。通り魔回のこの精神的グロさ! 加害者側の気持ち分かるからこそ、混乱をきたすという部分を完全に理解しての見せ方! くぅー、これですよ。今回の巻は特に心の動きというものの持つグロさがしっかりしている回が多いので、個人的には大変嬉しかったです。だからこそ、もうちょっとメジャーになっていい漫画だよなあ、とも思うんですが、難しいのかねえ。
 とかなんとか。