感想 秀河憲伸 『今日のユイコさん』3巻

今日のユイコさん(3) (アフタヌーンKC)

今日のユイコさん(3) (アフタヌーンKC)

 大体の内容「ユイコさん、大接近!?」。1巻のお堅いの要素が強かった時代のユイコさんからは想像がつかないくらい、いやむしろゆえに想像がつくくらい、柔らかくなってきているユイコさんが大変可愛い、それが『今日のユイコさん』3巻のユイコさんなのです。
 今回の巻でのユイコさんはデレの収穫期という趣きすらあるくらい、トモヤにデレております。ださいと思われたくない! とか、がっつき過ぎよ! って言ったかと思ったら、本心じゃないの! ってなったりする辺りのデレ方向の力技はスゴイ級のパフォーマンスの高さで、その上で不器用に笑ったり、不器用なキスへの持っていき方したりするので、もー! ユイコさん可愛いなあ! もー! って悶絶出来る仕上がり。今までもユイコさんちょっと面倒だけど可愛いな、だったのが更に一段ステージが上がって、このユイコさんだから可愛いんだなあ! 感があります。真面目で堅物、という殻から仄見える可愛い部分、乙女な部分、トモヤに対しての甘甘な部分が、単純に可愛いではないという良さとして立ち上がってくる訳ですよ。単純に俺の嫁とか言えない、むしろトモヤとの関係性でトモヤに見せる顔が可愛いので、トモヤと幸せになってください! と言えてしまうのが良い訳ですよ。分かるか、この算数が!
 今回のMKYS(最も可愛いユイコさん)は二つあり、一つがキスシーンであるのは論を待ちません。キスは私がリードする! って強気に言ってるのにモノローグの方はもうモジモジしっぱなしというギャップがたまらないんですよ。今まで内面方向より外面方向重視で、モノローグなんてした事無かったのが、ここでがっつり、そしてこんな気持ちだったのか、というのを思い知らせてくれます。ああー! もう可愛いったらー!
 もう一つがトモヤが浮気!? の疑惑に混乱して追ってみたら、なんか良い雰囲気では!? でかなりみっともなく泣いてしまうユイコさんが素晴らしい。本当に無様と言える泣き様で、それだけ恥も外聞もなく、なのが本当にトモヤ好きなんやね、と思わせてくれるシーンでもあります。というか、トモヤは普通にちゃんと言っておけよ! ユイコさんをあんなに不安にさせるなんてあかんで! ユイコさんは態度ほど強くないんやからな! でも、あの泣き顔は最高に可愛かったので、不問とします。←不問?
 さておき。
 今回はユイコさんの友達の恋の話も。どれもユイコさんではお目にかかれない、というかユイコさんでは出来ない話で、それをここぞできっちりかましてくるバランス感覚! そしてユイコさんが蚊帳の外! でも、これはこれで味わい深い。赤崎さん話は特に良かったです。もう昔の関係じゃないけど、相手の方が大人になってるけど、こっちも大人になるまで待っててね? ってもー! クソタレ可愛いじゃねえか! あたし待つわ! いつまでも待つわ! ←お前じゃねえ!
 さておき。
 友達の話もそうですが、今の状況から変わっていく、というのがこの漫画にはあるなあ、とか。ユイコさんが変わっていってるのは、友達からも柔らかくなったね、って言われてるのと、実際に漫画を読む中で我々も気づいている事ですが、そういうのって、いいですよね。トモヤも今回で色々ありましたけど、二人とも同じ位置にいるんではなく、進んでいく。その今の所のまとまりが、今回のキスであります。人が見てるかも、なのにやってしまった辺りが、あのお堅かったユイコさんの進展です。そこまで、トモヤが好き、なんだなあー。本当に、二人には幸せになって欲しいですよ。あんまりに長く続いて変にこじれなければいいなあ。とかなんとか。