感想 久正人 『ノブナガン』4巻

ノブナガン(4) (アース・スターコミックス)

ノブナガン(4) (アース・スターコミックス)

 大体の内容「ストーンフォレスト作戦、完遂だぞノブナガン! だが……」。3巻から始まった大作戦”ストーンフォレスト作戦”も今回で最終盤。3巻の最後でノブナガンの元に駆けつけたジャック・ザ・リッパー、その真実の姿とは。そしてワンクッションおいての侵略体の驚きの行動と、それによってのしおさんの絶望とは。それが『ノブナガン』4巻なのです。
 ジャック・ザ・リッパーの真相という名の伝奇的手法である実はこうだったは度肝というかいいのかそれ、というもの。後年に勝手に創作していいのかそれ。というか、それだとジャックの能力は切り裂くのとは違うんじゃね? と思ったらそれゆえに、ジャックの真の能力がある、というのが明かされます。その能力で敵の弱点を的確に突くのは当然として、しおさんことノブナガンは人類に必須の要素であるとされたりも。その前の段階で、つまり元の人間の頃の能力時で、人を守る方向ではあっても個人を守る方向じゃなかった、結構大雑把な能力だったのが、ここにきてピンポイントなのは、それだけノブナガンが大きなファクターになる、と言う事なんでしょうか。
 しかし、この巻後半の展開で、侵略体は地上に侵攻。そして友が失われて、しおさんは絶望の淵に。その前のワンクッションの回が結構軽めだったので反動が大きかったですよ、ええ。絶望と怒りに狂ったしおさん、怖いですしね。というか、侵略体の伝令と生産は潰したけど、まだ頭脳たる部分はどういう相手か見当もついてなかった、というのも思い出されます。侵略体による地上への侵攻作戦の巧みさは半端ないというか、それなんてノルマンディー上陸作戦? って感じでしたし、放射能を使えば人間の行動は相当制限されるのも理解してる辺りも知識と冴えがとんでもない。というか、知能が上がっているのかなあ、とも。とはいえ、侵略体の方もケツに火が付いてる状態ではある、生産が止められ、上陸作戦に力を注いだからそこが失敗すればじり貧の公算も高いし、地球の通常兵器では全くダメージがない侵略体も、それが放射能だったらどういう影響があるかまだ分からないという賭けめいた部分もあるので、ここがこの漫画の正念場と言えそうです。しおさんは立ち直るのか、あるいは希望が見えるのか。絶望的な状況だからこそ、立ちあがって欲しい所ですが、さて。
 キャラ的な部分ではガリレオヴィドック、ハンターの三角関係は相変わらずいい物ですね。特にハンターの言動がもう。全然見られてないけど、それでもめげずに自分の功績を語る彼が、この漫画の癒しという感じになるとは……。この辺がどう話に絡んでくるのかなー。ただの添え物でもいいけど。
 とかなんとか。