感想 ika 『かくげいぶ!』2巻

 大体の内容「格芸部は続くよどこまでも」。と思われた『かくげいぶ!』ですが、2巻にて最終巻となりました。掲載誌が突如隔月刊になった余波というのはやっぱりあるのか、というくらいに唐突にさくらちゃんが。そんな波乱含みの『かくげいぶ!』2巻なのです。
 この漫画は大体どんな漫画かと言うと、女子中が! 格ゲーで! 青春だ!! 説明!!! という言葉で大体済ませられる漫画です。基本的にikaさんの持ち味であるすっとこのリズムで繰り出されるボケを主体にしつつ、JCが格ゲーしたり、特に意味もなくプリティファイターで遊んだり、ダライアス筐体の導入を真剣に考えたりする漫画です。なんとなく可愛い感じを持ちつつ変なオチへと向かっていく、あるいはオチが唐突に表れる漫画として、相変わらずの味わいです。ああ。ダライアス筐体は当然バースト筐体ではなくあの伝説の三画面筐体です。ご安心ください。
 さておき。
 この2巻、1巻(感想)で構築されたキャラ関係を上手く活用しているというか、その土台無しでは語れない領域に突入したなあ、という感じがあります。前提条件が分かってないと、ですが、この漫画買うような方が1巻を買ってない訳が無いので、そういうのが分からん! というのは大丈夫でしょう。思い返し出来るように、前カラーでこういうキャラやったなーというのをしっかりしてくれていますので、忘れっぽい方でもご安心ください。
 さておき。
 この巻でさくらちゃん達の青春の格ゲーロードは閉幕しますが、その閉幕の仕方は中々奮っておられます。具体的にネタバレしますと、10年後! アメリカで! になりました。そこでさくらちゃんとウメちゃんが世紀の格ゲー対決! というのをバックに、この漫画は終わります。終わりますが一応後日談もあります。ご安心ください。後日談でアレクさんが子供を産んだ、という話も出ますがご安心ください。個人的には全くご安心出来ませんでしたがね! というか誰の子だよ! なんだよこれ! どこだよここ!
 さておき。
 この終幕に向かうにあたり、徐々に軸線が絞られていったのがこの巻の特徴と言えましょう。ウメちゃん骨折! からのさくらちゃんが左腕になります! からのウメちゃんの癖をさくらちゃんが見切った! からのウメちゃんがさくらちゃんに勝てなくなる! からの、と展開されていくそれは中々に納得出来る道筋でした。お見事ですよ。それが綺麗にはまって、最後はなんだかいい雰囲気で終わって大変満足しました。その為に後半ではときとさんとアレクさんの暴虐が少なくなり、そういう意味では物足りない部分もなくは無いですが、さくらちゃんとの壮行試合でのときとさんの横暴とかは中々良かったのでドロー! 前半ではちゃんとときとさんとアレクさんの暴虐は健在ですしね。ご安心ください。というかそこを混ぜると後半の展開がぶれちゃうから、当然減るのですよ。それ以外にも、絹ちゃんの扱いが限りなく軽くなってしまったり、逆にみるみるにゃーさんの存在感が鰻登り過ぎて鯉が龍になる故事めいていたりして、やっぱりもうちょっと長く見たかったなあ、とも。ここで終われたのはむしろ良かったとは思うんですけど、でも、もうちょっとika味のグダグダ劇は見たかったなあ。
 さておき。
 この巻では他にねお子&ぢお子とSWEET!かくげいぶ!も漏れなく収録されております。こちらは本編ではカバー出来なかった部分というかこれやったから本編では特にカバーしなかった部分がしっかりあって、大変ika味満載で美味しゅうございました。合宿の話は特に、最初に言っただろ! なオチへ向かっていく様が見事でした。でも、ゲームで合宿ってそんな感じよね。というのを過不足なく表わしていて、個人的には生理的に好きです。ご安心ください。そういうので終わっていくと、脳内で色んなエピソードを捏造するのも楽しいので、最終回でこの巻を〆なかったのはある意味慧眼だったかな、とか勝手に思ったりも。うーん、繰り返しますが、もうちょっと見たかったかなあ。
 とかなんとか。表紙の詰め込み過ぎはちょっとあかんと思いますが卿らはどうか。