感想 増田英二 『実は私は』5巻

 大体の内容「地球が地球が大ピンチ! というか普通のピンチの意味とは別ベクトルで大ピンチ!」。未来人という黄龍院凛の明かした未来の地球。そこは痴女が世界人口の大半を制圧した痴女の世界だったのです! という、アホを通り越してアホに到達した者だけが発想できる無茶苦茶な設定がいきなりぶっこまれてどうしようというか、どうしようもないというかなのが、『実は私は』5巻なのです。
 今回は凛さんの明かした地球の話から獅穂がどうにも関わっているという話からのアホなバトル、体育祭、そしてみかんさんとレッツ未来へ! が大体の内容です。一つずつ見ていきましょう。
 凛さんの明かした未来の地球の話はその後のみかんさんとのレッツ未来へ! で更に踏み込まれますが、それでもここで一旦言うのは、獅穂さんと凛さんのバトルの内実が単なる服のボタンの留め合いというなんだよそれ! というものだったからです。一瞬で服のボタンを外せる獅穂さんも大概ですが、そのボタンをこれまた一瞬で留められる凛さんの謎スキルが謎スキル過ぎます。この後の未来編でもきっちりボタン留めしてたので、未来ではレジスタンスの基本スキル且つ痴女の基本攻撃みたいです。なんだよそれ! アホという方向性を突き詰め始めてからだいぶ経ちますが、それもとうとうこの領域に到達するまでになったかという気持ちになってしまいます。どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!
 その未来編は基本アホ話なのにみかんさんと朝陽くんの関係がきっちりと解決するという、ずるずる引きずらない見事なワザマエ! でありまして、こんなアホ話にこんなしっかりした物をきっちり混ぜ込んでくるという手管に本当に驚愕しました。でも、やっぱり基本的にみかんさんがこの痴女が地球を痴球に改名するまで突き進んだ未来のおかしさと、それに対して朝陽くんはきっちり突っ込んでるけど良く考えるとそれもちょっとどうなの!? 順応してるのおかしくね!? というのを再確認させられるのもまたいい風味でありました。地上の男の99%と女の70%が痴女に従っている、というのが本当にツッコミ所としては高い峰です。男! 気持ちは分かるが男!
 さておき。
 そんな合間にあった体育祭回はこれもなかなかのアホ話。茜校長が自分の欲の為になんでも願いをかなえる! というのをしたのが、今回に限っては色んな勢力が勃興して足の引っ張り合いを、というのでバタバタとした体育祭を見せてくれます。その中での白神さんと藍沢さんの爽やかさは、言うほど爽やかではないのに周りがどす黒過ぎて爽やかに見えるという無茶さ加減だったので、本当にお察ししていただきたい。特に茜校長に新車を破壊されて中古車をあてがわれた紅本先生と白神母のコンビの茜校長に対する行動と表情は怖いの一語。先生のしてはいけない顔っぷりは本当に素晴らしいものですが、やっぱりしちゃいけないよな、あの顔。
 そんな訳で、あんまり長々とは続かない雰囲気がしっかりあるので、綺麗にまとまって欲しいなあ、とか思う、5巻目でありました。

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