感想 みずしな孝之 『いとしのムーコ』5巻

いとしのムーコ(5) (イブニングKC)

いとしのムーコ(5) (イブニングKC)

 大体の内容「バカ犬ムーコの賢さ健在」。基本的にバカ犬に見えるムーコながら、その実は賢いのである。でもバカだけど。というのがムーコの可愛さを相乗していくのが、『いとしのムーコ』の基礎ですが、今回は夏から冬へと季節が移り変わる中で、単行本ももうだいぶ色々したような感がある中でそれでも色んなムーコの味が出ているのが、この5巻なのです。
 そんな訳である意味いつものムーコのバカ賢い様を見ていく漫画なこの作品ですが、何度見てもムーコのバカ賢い感じというのは素晴らしい。今回では虹に心を躍らせ、風で動いたボールに生命を感じ、したかと思ったら動かなくなったのを見て「みじかいいのちでしたね…」とか思い、今回もやっぱり夏と秋と冬を感じたり。本当に賢いんだよなあ、ムーコ。でもバカ犬と言われるのは、思索が前に出なくて、ぱっと見がバカな行動してるからです。風鈴がちりんちりんいうのに反応してうろうろしたり、おもちゃがたくさんで混乱したり、虹の先を見ようとダッシュしたり。その上で、台風の日に停電+ろうそくの炎で野生を取り戻して面構えが変わった回は良かったです。基本的にバカ犬だから面が柔らかかったんだな、というのを感じられましたよ。キリッとした顔立ちは賢そうに見えるので、野生が薄れてるからバカ犬っぽいんだなあ、と。でも犬らしいバカさはその思索の中にもしっかりと含まれている訳で、そこがまたギャップというか、可愛さとして立ち上がっているのであります。この漫画基本的にそこ重点なので毎度書いてますけども、そこがいいんですよ。
 さておき。
 こまつさんとムーコのステディな関係(語弊)は相変わらずの飼い主と犬とのそれですが、人間関係的な部分はちょっと進行があるのかな? と言う程度でやっぱりあんまり進んでません。そこが見所じゃねえから! という訳ですね、分かります。でも、うしこうさんと篠原さんとこまつさんの関係はちょっと面白い感じ。全然三角関係にすらなってないけど、うしこうさんは結構マジなんでどうなるのかなあ、この関係。こまつさんも篠原さんもお互いに対して全くだから、うしこうさんも攻めればいけそうだけども、どうなんだろう。
 さておき。
 今回ではこまつさんとうしこうさんの過去、高校生の話が挿入されているのが実は一番のトピックであったかと。昔は高校野球で結構いいとこまで行ってたけど、肩を駄目にして、というのでそういうのもあったんだなあ、というよりも先に高校生のうしこうさんが意外と面持ちがイケメンであったというので、ちょっとした衝撃を受けました。今ではデブりんぐ+スキンヘッド+グラサンで面影ゼロで、実は名前をこまつさんが言うまでそのキャッチャーの高校生とうしこうさんが同一人物だと気づかなくて、気づいたらアイエエエエ!? ってなりましたよ。うしこうさんに何があってあんなに容貌が変わってしまったんだ、こまつさんは案外そのまんまなのに! と思わずには居られません。この漫画最大の謎ですね。
 とかなんとか。