感想 タチ 『桜Trick』4巻

桜Trick (4) (まんがタイムKRコミックス)

桜Trick (4) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「二年生になりました」。そこから始まる、二年生生活。少しずつこの学校と離れる時間が近づいてくる、と言うのを感じさせつつ、いつも通りのいちゃこらが発動する、それが『桜Trick』4巻の全容なのです。
 この巻での重要点はやはり新生徒会長、スミスミ会長でしょうか。前任者たる美月さんの期待に応えようという意思はあるものの、それゆえに空回りするスミスミ会長ですが、この独り相撲がどのように解決するか、というのよりも、そこに春香さんが絡んでくる、というかお姉さんになってほしいのじゃ! という展開がぶっこまれて、それが気になって仕方ありません。このお姉さんに発言は優さんが知らぬ事なのが更に倍点です。3巻で美月さんとの突如の三角関係めいた瞬間がありましたが、それは本当に刹那の事で、ゆえに美月さんが麗しかったのですが、今度の三角関係は更に込み入っており、しかもどうなっていくのか全く予断を許さないのであり、二年生編の幕開けにはかなりの爆弾をぶっこまれてきたという印象です。単にお姉ちゃんとして、なのか、そこから更に発展があるのか。どうなってしまうんだ!
 とはいえ、3巻で一瞬醸成された美月さんの障壁を越えた、ある意味では越えてないんですが、後である4巻なので、二人の関係は濃厚です。恋人同士、という言葉がしっくりくる二人でありますが、そこにまで思考が至っていない、というのが3巻で提示された後で、じりじりとそういう方向性を持っている感じにも見える展開になってまいりました。そうなると当然、二人のキスも隙あらば。この漫画の基本というかノルマ的とすら言えるキスシーンは今回も健在ですが、好きという言葉が徐々に二人に浸透していってる感じの中なんで、所々で好き好きしておられます。好きの反対はキス、というのはけだし名言過ぎて脳に直撃してくるものがありますが、この辺りは慣れてきて甘々な感じが心地良くなってくるから困りません。これこそこの漫画のレゾンデートル、と言ってしまいますが、最近ではそろそろ違う道筋もねえ、という気にもなってきます。
 そこで、しずことですよ。
 今回の巻の道中でのしずこと成分もいいんですが、やはり最後の描き下ろし『ドロップレター』での、ほんの些細な、でも大変重要な事が中々会話できない二人、というのが大変宜しい。しずくさんが積極的に追う方じゃないから、微妙に行動が見切れないコトネさんとはどうしてもすれ違いがある。けど心は。というのはふつくしい……。この二人のキスシーンは多くないですが、だからこそ効果的であります。中々見えないからこそ、したらキマシの塔が建つ訳ですよ。この二人の関係がどうなるかも、今後の重要なファクターであります。この辺と春優の甘さがどこまで突き抜けていくのか。そしてゆず楓という方向性はあるのか、というのも含めて、中々ふつくしい……。という気持ちになる4巻でした。