あなたが『シアトリズムファイナルファンタジーカーテンコール』をすべき3つの理由

初めに

 いいですか? あなた方は『シアトリズムファイナルファンタジーカーテンコール』をするべきなんです。今すぐすべきなんです。3DSを持っているなら当然、音ゲー好きなら当然、FF好きなら当然、そして3DS持っていなくても3DS買ってでも当然やるべきなんです!(グルグル目)
 という冗談はさておき、『シアトリズムファイナルファンタジーカーテンコール』(以下TRFFCC)は大変な名作です。名作なんて普通使わないでおきたいと思っている自分をして「ぐちょ濡れの名作だわ……!」と言わしめる出来栄えとなっております。その出来栄えがどのようなものなのか、というのを<するべき3つの理由>と題してつらつらと書き連ねていこうかと思います。3つの理由、それは先に言ってしまうと音ゲーとしてすべき、FFゲーとしてすべき、そしてRPGとしてすべきとなっております。
 どういうことか。それは追々に。
 それでは行ってみましょう。

第一の理由「音ゲーとしてすべき」

 まずTRFFCCはどういうゲームかと書きますと、それは<リズムアクションゲーム>という区分、もっとざっくりゲーマー的な言い方をすれば<音ゲー>という区分になります。大体の場合が楽曲に合わせつつ、判定ラインにくるオブジェクトに合わせてこちらがボタンなどを押すゲーム、と言ってしまうと身も蓋もないですが、大体そういう類のゲームが<音ゲー>です。TRFFCCも、その範疇に収まるゲームであります。
 範疇ですがしかし、その出来が非常に素晴らしく、FFのゲーム好きだけど音ゲーは、という初心者の方にも簡単であり、すべきなのです。
 TRFFCCは基本として左から来るオブジェクトを処理するタイプのゲームなんですが、そのやり方をちょっと変えるだけで二種類のゲームとして立ち上がってきています。
 バトル曲、つまり戦闘等で使われた曲の部類、<BMS>は、四列ある判定ラインに対して左から来るオブジェクトを処理していくタイプ。四列に来るのでオブジェクトの来るタイミングをしっかり見極めないといけないタイプです。
 フィールド曲、つまり移動する場面で使われた曲の部類、<FMS>は、上下移動出来る判定ラインに対して左から来るオブジェクトを処理していくタイプ。その上下移動出来るという点を生かして、長押しのオブジェクトは上下に判定を振ってきます。
 上記のように、<BMS>と<FMS>それぞれでゲーム内容は趣を異にしています。しかし、基本ルール及び視点の位置は左から右と変わらないので、片方してたら片方が出来なくなる、混乱するという事はないという仕上がりとなってもいます。*1これがまず上手い訳ですよ。
 オブジェクトの処理方法も簡潔で且つちゃんと奥深い。基本はタッチ、長押し、スライド、そして長押し後にスライドするのの4種類。どれもタッチペン操作では単純な部類の操作ですが、それゆえにプレイに入りやすく、且つわずらわしくない。理解しやすいのです。その上、<BMS>、<FMS>、そしてイベント曲<EMS>のゲームタイプ三種どれもがこの操作なのでこの点でも混乱しないようになっており、初心者の方でも楽に覚えられるのです。また、タッチ以外の操作にも対応。スライドパッドとボタンの良くある形から左手のみの操作という変わり種まであるので、状況や気分次第で変えていけるのもいいですね。
 曲の難度の方は三種類ありますが、どの難度にもいくら失敗してもOKな練習と、どういうタイミングで操作するのかが分かるプレイデモが装備されており、まずそれらからやっていけばいいという親切設計。操作の簡便さと合わせて、音ゲー初心者の方でも段階的に上手くなっていく事が出来ます。
 このように<音ゲー>として大変良く出来ていたのは前作『シアトリズムファイナルファンタジー』(以下TRFF)の段階で分かっていた事。TRFFCCではその部分に更に細かい改変が行われています。まず、視認性の向上。このゲームではBMSでの召喚獣やFMSでのチョコボといったFF独自の部分をフューチャーしたものがあるんですが、その部分ではTRFFだと色が変わって見えにくかったのです。そこが改善されて見やすくなっているのが細かい改善点。他に最高判定クリティカルを取ると有利になるシステムも搭載されていたり、BMSでの召喚獣が必ず出るようになったのでルートの固定されて*2クリティカル率の累積がやりやすくなる等、よりクリティカルを狙っていく事へのモチベーションを上げています。こういう事で、更に細かく音ゲーとしての質が上がっているのです。
 この高い音ゲーとしての質が、音ゲーとしてお勧めする、するべきというポイントなのです。

第二の理由「FFゲーとしてすべき」

 このゲーム、TRFFCCはFFの名を、<ファイナルファンタジー>の名を冠しています。当然、FFゲーとしての側面、それもお祭りゲーとしての側面がきっちりとしてあるのです。
 その最たるものが収録楽曲。200曲以上がほぼ初っ端からある状態になります*3。FFと言えば楽曲が一つの売りですが、それが惜しげもなくぶち込まれているわけなのです。それも、『FF』から『FF14』、それらの番外作まではもちろん、『FFタクティクス』や『FFクリスタルクロニクル』、あげく『ミスティッククエスト』まで収録されているという強烈な選曲なのです。初期の段階でも戦闘曲からフィールド曲まで、これは押さえて欲しい、という所はちゃんと且つたんと収録されていますが、更にこの上にダウンロード購入する事で楽曲が増やせるので、これだけ入っててもまだまだ楽曲がある中で、今はまだ入っていない曲でももしかすると、という期待も持てます。更に更にロマサガ楽曲も配信予定になっているので、FF関係ないじゃん! とか、なら聖剣伝説も可能なのか!? とか色々想いが持てて、本当にお祭りゲーという言葉がふさわしい出来栄えになっていると言えるでしょう。その収録楽曲からFFに入っていく、というのもありではないか、と音ゲーするけどFFは、という人に向けて言ってみたいとも思ったりも。それだけ、楽曲に力があります。
 また、使用できるキャラクターも60人以上と数多く、あのシリーズのあのキャラが、というのもいいです*4。それぞれ個性付けされたキャラクターを集めるのもまた、楽しみの一つでありますし、俺はこのシリーズでパーティーを作るぜ、みたいな楽しみ方も可能であります。
 ゲーム中の色々なフューチャーが細かく、FFゲーとしてのくすぐりを理解しているのも素晴らしい。音ゲーとしての部分でもちらっと書きましたが、<BMS>では召喚獣が、<FMS>ではチョコボが出てくる仕掛けが用意されており、共にプレイにアクセントを加えてくれます。更に細かく行くと、<BMS>での敵モンスターも大幅に増えていたり*5、<FMS>のバックに流れる風景がそのシリーズの目立つ建物だったり*6と、ファン心をくすぐる仕上がりをしております。
 このようにFFゲーとしてクオリティが高いがゆえに、FFゲー好きにはしていただきたい、すべきなのです。

第三の理由「RPGとしてすべき」

 先にTRFFCCは<音ゲー>です、と言っておきながら突如RPGとしてと言いだすその錯乱した展開に訳が分からないよ! と思われる方もおられましょうが、まあ、まず聞いていただきたい。そう難しい話じゃありません。
 というのも、このゲーム、音ゲーだというのにレベルアップ、成長のシステムがあるのです。曲をプレイするたびに経験値が入り、それでキャラクターがレベルアップしていきます。このレベルアップで、曲中に失敗した時に減るHPの上昇、プレイやドロップに影響のある各種能力値の上昇、色々な効果のあるアビリティの習得が起きます。HPは上がればそれだけ失敗しても終了になりにくくなくなり、またアビリティにもHP回復があるので、レベルを上げ、そういうアビリティを積んでいけば、音ゲーが苦手でも高難度曲をクリアする事も可能ではある辺り、難しければレベルを上げればいいというRPGの基本とも言える部分をきっちりと踏襲しているのです。
 とはいえ、その点だけをしてRPGだと言うのは強弁が過ぎると思われるかもしれません。他にRPGな要素は無いのか、というとあるんですよこれが。
 まずRPGと言えばな冒険要素、探索要素は<クエストメドレー>というモードが担っています。このモードはマップに配置された道の上にある曲をクリアして進んでいき、ボスのいるダンジョンに到達し、そしてボスを倒す事で報酬であり、キャラ増加のキーであるクリスタルの欠片を収集するのを目的とした物です。HPは減ったらそのまま、という縛りがあり、なくなれば当然探検失敗となります。ゆえに回復手段としてのアイテムやアビリティ選択が重要になってくる辺りが頭使うので楽しかったり。マップも短いのから長いのまで取りそろえられておりますが、短いのは30分程度で済むし、長いのは本当に長い代わりに報酬が貰えるボスが多く、クリスタルの欠片がたくさん手に入ります。そして途中で一旦止めてしまってもまた続きからスタートも出来るので、時間無い時でも安心して<クエストメドレー>をプレイ可能なのがありがたい。後、クリアしたマップはすれ違い通信で他人に渡せるので、自分好みのマップが出るまでマップをクリアしまくるプレイも楽しかったりしますし、マップの全ての道を走破するのもまた楽しみ方です。
 次に収集要素。これは曲クリア時に手に入る楽曲プレイの手助けになるアイテムやクリスタルの欠片で集められるさまざまなシリーズのキャラクター、アイテムの一部であるカード、コレカも収集要素ですし、先にあげた<クエストメドレー>のマップもその一つと言えるでしょう。またリズポというポイントを溜めるとクリスタルの欠片や一部の曲、更にはタッチ音なども解禁されます。それ以外にアビリティの習得や曲のクリア評価、クリティカル収集率の累積なども広義で収集要素でしょう。
 最後に、最初に戻るようですが成長要素。これはレベルアップ以外にもコレカを使ってキャラクターの能力値を上げるシステム、<コレカクリスタリウム>が搭載されています。これにより、コレカがただ集めるだけのアイテムから能力値アップの素材として立ち上がってくるのです。基本的にこのゲームのキャラクターの成長は決められた方向性に一定で、ランダムで上がる訳ではありません。ちからがほとんど育たないけどまりょくがガンガン上がるキャラクターから、うん一点突破のキャラクターまで、色んなキャラクターがおり、アビリティと合わせてそれが個性ではありますが、個人的に気に入っているキャラクターなら際限無く能力を上げたいのが人の、いやさゲーマーのSAGA。その部分をくすぐってくるのが、<コレカクリスタリウム>なのです。まあ、コレカを集めないといけないし、上げるのに失敗する可能性もあるので、あっという間に最強キャラだぜヒャッハー! は出来ない作りではありますけれども。それもまた心をくすぐってくる訳ですよ。
 そんな訳で、RPGとしてすべきというのも、あながちではないと思っていただけたかと思います。正直申しまして、昔のスーファミ終期からPS1全盛期のスクウェア全盛期の、なんでもRPGにしてしまえ! 俺達が、RPGだ! という乱暴狼藉だったあの空気をこのゲームにも感じたりするのですが、それでもきっちりとRPGの部分を落とし込み、作品として成立させているので、伊達に長年ゲームが作られ続けている訳ではないのだな、という理解に到達できました。そういう意味でもRPGとしてすべき、と言いたいと思います。

終わりに

 三つの理由、いかがだったでしょうか。どの視点からもこのゲームが優れているのが、ほんのりでも分かっていただけたら幸いです。そして、買ってプレイして堪能していただきたい。それだけお勧め出来る名作なのですから。

*1:イベント曲扱いのEMSの場合はこれらとは違う形、左から右ではないですが、オブジェクト処理は同じ操作性ですし、移動する方向もルートとして出ていて見やすいので、これも混乱少なくなっています。

*2:TRFFでは召喚獣出現と失敗の二種類のルート分岐になって面倒だった。今回は失敗でもチョコボ召喚なのでルートは一つ。

*3:イベント曲、EMSは最初からはなく、ポイントを稼いでの解禁。

*4:個人的にはFF6エドガーがいるのが大変うれしいです。好きなキャラクターなんですよ。

*5:FF7』の敵役レノが出てきた時には色々噴出しました。お前確かに敵だけどモンスターじゃなく普通の人間やないか! まあ、ゴルベーザとかもいるから、幅広くなったという事か。

*6:それとはちょっと違いますけど、『FF6』の楽曲“仲間を求めて”でバックにファルコン号が飛んでいるのは大変良かったです。