感想 OYSTER 『超可動ガール1/6』2巻

 大体の内容「これ完全に二号さんやで!」。と言う事で、1巻終わりに登場したもう一人の動くフィギュア、ベルノアさんがどう考えても二号さんルート(婉曲表現)を突き進んでそれは男の甲斐性ですか、房伊田ァ! というラブラブ甘甘状態に突入しているのが、『超可動ガール1/6』2巻なのです!
 1巻ではノーナさんの積み上げが主でありましたが、2巻ではベルノアの積み上げが主であります。あまりに主過ぎてもうベルノアさんがヒロインでいいんじゃないかな。という呟きも天然自然に湧いてきやがるくらいにベルノアさんのメインの回の冴えが極まっております。ベルノアさんと房伊田の関係、というのが異常にこんがらがるというか、パケ絵で気に入ったゲームの主人公で、その行動はすべて房伊田がしていた事で、でもその操り人形なベルノアの想い、クリアしたらお払い箱という事実に心を乱しているというのがゲームとは関係なしに膨れ上がっていて、ってどんだけ積みこむんだよ! というくらいにキャラクターをおったてるとはこういうものだというジョブを見せつけてくれます。正直あまりに積み上げられるので「ノーナなんていらんかったんや!」という錯乱めいた言葉すら発しそうになるほどであります。しかも、ベルノアが絶対勝てない相手、作品中で費やしたもの、積み上げたものが多ければ多いほど強くなるという反則めいた裏ボスに房伊田が、というので房伊田の株が急上昇。そしてベルノアもラブる。というので更にノーナさんの立ち位置が危うくなってしまっておるんですが大丈夫なのか、この漫画瓦解しないかとすら思ったりもするのです。
 しかし、そこは抜かり無いのがOYSTERてんてーであります。そこかしこでノーナさんを効果的に混ぜる事で、それをきっちり回避しつつ、ベルノア回を惹きたてておられます。ベルノアの気持ちに触れて泣いてみたり、ベルノアが房伊田にラブってるのを指摘したり、案外存在感がきちんとしている印象を持ちました。これこそ、ワザマエ! その後で互いに尊重しつつ順応して生活してるのもワザマエ! です。でも、それだとベルノア完全に二号さんコースですよねー!
 さておき。
 この巻で重要なのは、謎のフィギュアの正体と、その持ち主の話でしょうか。まあ、その名前も分かって、且つ持ち主冠さんなんですけど。1巻でそれとなく仄めかしてたのがもう展開する、というので拙速を疑いますが、あんまり長くするつもり、延々するつもりがなく、きっちり終わり方を決めた所へ向かっていると解釈した方が精神衛生上よろしいので、そう思う事にしますが、とにかく、冠さんですよ。フィギュアが動く理由、それについて調べようとしている辺りがオタらしいというか、探究心と好奇心が強いなあ、と。房伊田はあまりの展開と嫁になるという事態に探究心はスルっと抜け落ちてるみたいですが。その辺の温度差はオタとしての立ち位置の違いなのか、単に今の状況がすっかり気に入っているから特に気にしてないのか。後者くさいなあ。自分もたぶん、フィギュアが動いたらそのまま順応しそうだし。冠さんはその状況に疑心もあるんだろうなあ、とも。否定から入るタイプだから、この状況がいつか終わるのでは、というのを考えてしまっているのかしらね。
 とかなんとか。