感想 内藤泰弘 『血界戦線』9巻

 大体の内容「K・K姐さんの授業参観に行きたい! 他一本」。他一本の方が前後編で長いんですが、K・K姐さんの話はこの漫画、というか内藤せんせの含有する物ががっつり出ていて、この漫画で、いや内藤せんせの漫画ではこういうのが見たかったんだよ! という思いが強いのであえて大体の内容として書いたことをボルガ博士、お許しください! という訳のわからない言葉が自然と出てくるのが『血界戦線』9巻のもつ雰囲気なのです。
 さておき。
 まずツェッドの新たな稼業習得しようとしたらいきなり襲われて、な『鰓呼吸ブルース』前後編。この回はツェッドの呼吸器用デバイスを軸に、色んな視点が繰り出されるので結構ごった煮感がある回ですが、ツェッドの来歴の話は結構興味深く読めました。これが具体的に語られる事は今後ないでしょうけど、だからこそ、どうして生きる事を選択したのかがじんわりと効いてくるように感じました。後、ザップが馬鹿で駄目なのにいい奴な雰囲気だしててどうしようかというのも特筆したい所です。今までクズ野郎な雰囲気が多かっただけに、こういう側面出されると、所謂不良が子犬にミルクやってるのと同じ効果があります。それは普段周りとはちょっと一線引いてる感のあるチェインさんもなんですが、チェインさんは前にレオを間接的に助けた事もあるので、ザップのいきなり感は無かった、でもまあ、いい人ではあるのだなー、とは思いましたけれども。そして、オチのかっこいいインシデントから一転して笑い所が発生する辺りは内藤せんせのスキルが高まっているなあ、と感じましたよ。そこでそう落とす、というのが内藤せんせの今まででは見た事ない球だったので、余計にそう感じるのかもしれません。
 さておき。
 さあ、K・K姐さんの授業参観話『BRATATA MOM』です。子供の授業参観日が、ヤクの密売組織の壊滅作戦の日! というので仕事優先したい、けど子供に泣かれて怒られてで、あーもうどうする!? となって遠隔操作の兵器で潰せばいいじゃない! という解答に辿りついて授業参観に出ながら、でもちょくちょくトイレにこもりながら遠隔操作するというよくよく考えなくてもちょっとお間抜けな展開が繰り広げられて、そしてその遠隔操作の兵器の名前が兵器らしくやたら仰々しいのと二ページぶち抜きもあって、更に変な空気を読んでて感じるのでした。なんだこれ。でもこの空気なんですよ、私が内藤せんせの漫画で実際好きなのは。ガチガチの熱い展開もいいし、シリアスな空気も好きなんだけど、こういう変調、変な拍子K・K姐さんが子供に言った台詞とかの人情めいたとここそ内藤せんせの唯一無二だよ、そう思っているんですよ。それがしっかり見れたのが嬉しかったんです。
 が。
 ここで壊滅作戦してるとこに血界の眷属が! というので一気に状況が緊迫度を増し、うお、と不意を突かれたかと思ったら、更にその眷属の本体と言えるのが、思わぬ所に、というので更にうおお!? とさせられます。やっぱりこういうのもいいな! と前言をひっくり返したくなるくらい、ぞくっとくる展開。そして、その眷属が何故か、というのもまたうおっ、となります。眷属に対する知識は、読者側もほとんどないのが現状なので、そういう奴もいる、という提示なのか、何か裏があるのかは分かりませんが、また幅が出てきたなあ、とか。これが面白い展開を生みだしてくれたらいいなあ。
 とかなんとか。アニメ化、納得の物が出来たらいいなあ。でも、終わりがはっきりしないし、その辺どうなるんだろうか。まあ、お手並み拝見や。