感想 楯山ヒロコ 『椿さん』6巻

 大体の内容「椿さん、一意専心」。今回もいつものように椿さんが出て収める! という流れ、に見えて、巻の最後の方で、少し変化が見える。そんな『椿さん』6巻なのです。
 変化、として大きいのは稔君が稔さんになった、というと訳がわからんでしょうからもうちょっとちゃんと言うと、稔君がとうとう20歳、成人になったのです。なので、君からさんに。でも、気持ち的にはまだ君だなあ、稔君には。高校の頃から見ているキャラクター、というか人物だけに、どうしても成長したわねえ、って目線が生まれてしまいます。この辺はやっぱり歳取ってきたというのもあるんでしょうし、簡単にサザエさん時空出来るタイプの漫画なのにしっかりと年月が過ぎていったからこそ生まれた、時間の流れがあるからこそ生まれる感情めいたものなのかもしれません。
 そんな稔さんの変化に付属するように細かい変化として、稔さんが雅さんが出てきて茶々いれてきた事で、ふと椿さんが草野家に仕えるようになった経緯を知りたくなる、というのがあります。これは細かいですが、しかし稔さんが成人したのと同等の、あるいはそれ以上の重大な事であります。椿さんが草野家にいる理由、それはある意味、この漫画の最大の謎でありますからね。それが、じりっと解明に向けて進んでいくのか、というので、期待は高まります。椿さんがあまりに超人物なので、それが資産家とはいえ一戸の家に収まっている、そして一意専心しているってのはそりゃ気になるですよ。あんまりこっちが考えているようなとんでもない理由でもないような気もしますが、その辺はどうしてくるのか。ここは楯山ヒロコせんせの腕前が振るわれる事を期待します。しちゃいますよー!
 さておき。
 今回の巻で好きなのは、成人式回。『椿さん』のエッセンスがしっかり含まれつつ、他の漫画ではあんまりないタイプのイベント回として立ち上がっておりました。その前のいい物を買いに行く回と合わせて、『椿さん』マスト回の一つとしていいのではないかと思います。そして、その回で稔さんが思う、自分の周りの大人のフリーダムさ、のとこが一番笑いました。椿さんは当然無理だ、ってのが特に。ですよねー! あれが出来る人は本当に超人過ぎる。後、お爺様も無理だなー、ってのもかなり堪えました。なんか、甘いもの好きが最近はブースト掛ってエスカレートしてますよね。普通の人のみならずちょっとなりにくい人でも簡単に糖尿になりそうで、どういう体してんだろう、とか思ったりも。
 そんな『椿さん』6巻なのでした。