感想 増田こうすけ 『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和』15巻

 大体の内容もなにもオムニバスだよ! 作品解説でも書かれているように決まったキャラというのがほぼ無い、オムニバスだよ! それが15年目だよ! 祝いの気持ちで一杯だよ!
 と言う事で、気になった回を5つ程PICK UP! していきます。

第291幕『タイ旅行記

 初っ端から増田せんせがタイに旅行に行った話ですが、単なる旅行記になると思った人はいないでしょう。しかし、登場人物が神仏習合じゃねえ合体と分離を繰り返して見事なクリーチャ―が生み出されて、旅行記の部分が酷くおざなりなのが気にならないと言うか旅行記でいいじゃねえか! という気持ちにさせられます。偶に写真から描いたと思える絵とかは流石に15周年だなー、とか思ったのに! なんだ新キャラバナナしぇいくて! 4人の合体キャラってもう意味分かんねえよ! その後空港でガイドさんとお別れの場面でのグロい別れ方とかなんだよもう! ズルチャアアって! こんなの予想出来る出来ないの次元じゃねえ!

第295幕『ダーウィンの進化論』

 ダーウィンが進化論を見出す、はずが。最初に「ダーウィンからある一定のレベルでダーウィッシュに」と言いだした時点で展開は全部読めていた、ですが、それでも偶に進化に抵抗するという謎ターンを交えつつ最後まで進み続ける様はパワフルというよりソウルフル。そしてそのソウルフルな展開から最後の名台詞「この後ダーウィンはちゃんとしました」で腹筋が瞬間的に破壊されました。ちゃんとした、てなんですのん! 間違ってたの自覚してたのかお前! というか、オチがいつも弱いと思ってた増田せんせの力が、上がっているというのか!?

第298幕『選ばれし者』

 異世界から助けを求められた、次の瞬間に今の世界からも助けを求められた男子の話。選ばれる系の話で二つの所から求められるって新鮮でしたが、それだけでは終わらせない、どちらもそれでどうしろというフリ。メカの方の名前が酷いのはまだしょうがないけど、盾で押しつぶしてという戦い方の無茶ぶりは本当にひどい。そりゃ迷うわ。で、コンペみたくなっていくのがまた。どっちもどうにかならんのか状態でどうなるんだこれ。からのオチの展開の秀逸さ。そりゃそうだったけど、そういう伏線だったのかよ! というのが仕込まれて、綺麗に終わっております。あれ、増田せんせ、オチ上手くなった!?

第300幕『THE ALFEEがやってきた』

 友達のコネで来た、三人の男たちが全くTHE ALFEEじゃない! というどういうことだよ状態で進む回。本当にひたすらどういう事なんだ、どういう事なんだというまま進む、ある意味地獄のような回です。登場人物では謎の三人組以外はひたすらどうして……、という状態ですが、その中でも友達がテレビで見るTHE ALFEEと今のTHE ALFEEが違って見えるのはとうぜ……、もうちょっと時間をくれ……。ってお前が一番しっかりしないといけないだろ呼んだんだから! というのが全くその通りと思ってしまうカオス空間。なんだこれ。最終的に時間が解決してくれますが。でも、この三人組と絡んだような、ただ慄然としただけのような時間って人生でどれだけ意味があるのだろう。と思わせる中々味わい深い回でもありました。なんだこれ。

第307幕『チェンジ −このオレ−』

 ぶつかって人格が入れ替わっちゃったコメディを瞬殺する回。頭ぶつけて人格入れ替わった!→すぐさま頭ぶつけて元に! という今までの漫画の歴史でよくあるノリを、俺が倒す! という意気込みが感じられるものがあります。その後も何故かバトル漫画みたいな駆け引きの頭突き合いに発展して、本当に俺が倒す! というい(略)。というか、この部分結構テクニカルだけどしっかりとした蓋然性のある、納得出来る頭のぶつけあいとして立ち上がっているのが本当に良くわからない漫画だな、これ。これもオチが綺麗だし、増田せんせ、15年はまだ踏み台でしかないか。