感想 ざら 『しかくいシカク』3巻

しかくいシカク (3) (まんがタイムKRコミックス)

しかくいシカク (3) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「紅葉滝写真部よ、永遠なれ!」。という大上段をかましてしまいましたが、写真を撮る事を色々していたこの漫画も、この巻で最終巻となりました。全体的に尺が足りてない部分があるというか、会長と栗菱と十子の三角関係未満はどうなるのー! というのが個人的にはでかいんですが、あれはその後、つまりこの漫画の終わった後以降に、観測出来なくなって以降に何かしらあるのをこちらが妄想するのが最善手でありましょう。十子が恋愛に燃えるというのは考えにくいとか言うな! という尺が足りないようで足りているようでもあるのが、『しかくいシカク』3巻なのです。
 尺が足りないようで足りているようで、なのは細かい所でまだこの漫画は広がれるんだ、という雰囲気があるからです。特に『ふおんコネクト!』の夕ちゃん先生が出てくる回は最たるもので、作の横断というのが可能なのでは、とふと思ってしまうくらいであります。主任先生が学園長に、とか、『ふおんコネクト!』でちらっとあったネタがここで昇華されるとかしているので、どうしてもそういうのも見たかったなあ、と。この巻の〆に向けて、そっちもあるというのを見せる手管だったんでしょうけど、でも、やっぱりそういうのもうちょい見たいと思ってしまいました。罪作り!
 さておき。
 この巻は色々テクニカルな事をしているのもまた印象的。学園祭回でのお題写真を撮ってもらうというのの面白くて確かに写真部の仕込みだけど、今の誰しも携帯に写真機能があるという時代を上手く活用しているテクいさ。その後のコタツ回の何もないがあるやり口と絵柄の違いを使ってギャグ回として立ち上がったのに次の回ではコタツ回で失敗して怒られた後というのをやるのもまたテクい。
 しかし一番テクいのは鬼が出来る節分回。最後の方で鬼が本当に出てくるんですが、でもそれが本当に鬼なのか誰か違う人の仮装なのかというのが全く分からない。そもそもそういうファンタジーな展開hは今まで全くなかったのに、何故その回だけあるのか、そしてそのまま終わっていくのもやっぱりテクい。次にも続いてないから、余計にあれはなんだったんだ、という気持ちをブっ込まれます。本当に何度見てもリアリティラインが崩しているのが納得いかないと言うか、そういう芸風違うだろと思うんだけど、そう思うのもまた押しつけであるなあ、とも考えたりするんですが、でもあれやっぱりなんだったんでしょうか。あれは夢なのか、現実なのか。考えても解が出そうにないので、でもうんうんと考えてしまうのを禁じ得ない、そんな回でした。次回作はもうちょいそっちの、幽明が分かり辛い漫画とか、描いてくれないかなあ、と書いて、〆とさせていただきます。