感想 島本和彦 『アオイホノオ』13巻

 大体の内容「残った……っ!首の皮一枚……っ!」。と言う事で12巻(感想)で小学館の公募に落ちた、かに見えたしかしその時、まだこの選考にはフェーズが残っている……っ!! と言う事で新米編集者がその零れ落ちた作品を掘り返し、その網にホノオがひっかかる、というのが一側面としてありつつ、ガイナックス設立に向けた方向性にも言及されるのが、『アオイホノオ』13巻なのです。
 と言う事で、小学館になんとか引っかかったホノオですが、その理由がとても酷く、全体的に酷いけど、ギャグが一個だけ面白いんですよ。という物。そのギャグ台詞も焔のオリジナルではなく、前に撮ったフィルム作品の他人のネタというので、12巻の時はこれは史実と違う展開になるんじゃないか!? と心配に思ったのですけど、それとはまた違う方向に心配に思う、というかつまりホノオ何もいいところないじゃん! これで増上慢になってまた叩き折られるフラグビンビン丸やん! という状況になっております。砕けたり元に戻ったりまた砕ける予定になったりって大変だなあ、ホノオ。これはこれで本当にそう言う事があったのか、という歴史的な部分での懐疑というか、限りなくフィクションだけど限りなく実体験とかになっていくんだろうか。このまま行くと、島本和彦版『激マン!』の様相を呈する気もするんですが、それはそれで楽しそうなので、そう言う方向性に行ってくれてもいいのかなあ、とか。『炎の転校生』がどのように形成されたのかって、実際興味がありますし。どこで熱血をギャグにするというあの道筋に到達したのか、というのが知りたいなあ。見れないかなあ。そこまで行く前に終わりそうな気もするし、そこをやってこそ終われる気もするんですけれども、どうなるのやら。
 さておき。
 ガイナックス組の方はまだガイナックスとしての立ち上がりではないものの、以後この面々で一つになっていくというのが明確になったのがこの巻のもう一つの特徴でしょう。借金がある! からのDAICON3のオープニングアニメ、売るよ! からのその売れ行きに岡田ママンが庵野赤井を逃がしたらあきまへん! という檄を飛ばす! 確かに、4分のアニメを2万、当時だから今より高いしそもそもビデオデッキが少ない時代で、というのでバンバン売れる、となったらそりゃ捕まえてないといけないわな。山賀さんも毎回食いっぱぐれない! を持ちネタ化してるのもまた当然。それだけの力があるのが分かる、というのもまた才能だけど、毎回されると島本先生は山賀さんに何か悪意を持っているのではという気もしてしまいます。仲間に入れてくれなかったってこの巻では描かれてるのも一因でしょうが、それよりも劇画化というかシマモトナイズドの単なる結果なんだろうけど。でも、これでガイナックスへの道のりがしっかり立ったなあ、というのと、でもよく考えるとなんで島本先生はガイナックス話を挿入しているんだろう、と今更ながらに疑問にも。何か絡み合う部分があるのかなあ。今回は加えるメンバーから除外されるってあったけど、それだけの為に今までやってる訳でもないだろうし。うーん、ここってわりと謎いな。
 とかなんとか。