感想 川井マコト 『幸腹グラフィティ』4巻

 大体の内容「今回もほっこり優しいお味」。「テレビアニメ化!!」と『アストロ球団』の「アフリカ!!」みたいな顔になる昨今、皆さまいかがお過ごしでしょうか。高校に入ってから季節の流れが若干のスローペースになっている『幸腹グラフィティ』ですが、それでも季節は順調に移り変わり、そしてリョウさんきりんさん椎名さんの仲も順当に深まっていく。そんな『幸腹グラフィティ』4巻目なのです。
 さておき。
 今回は旅行に入ったり学祭があったりとイベント盛りだくさんで、どちらも二回使うというこの漫画の基本である一話完結構成から若干はみだす位に大イベントであります。まずこの二つから。
 旅行話は旅情よりも食う! を満喫してる感があるのがこの漫画らしいですが、この漫画の導線はやっぱりきりんさんが動かしてるなあ、というのが感じられる回でもありました。前半の重装備が露子さんのほぼ手ぶらを引きたてたり、露子さんがはしゃいでもいいんですよ、と言ったそばからはしゃぎ過ぎてたり、夜中のお風呂で椎名さんとの友好を深めたりしてたのが印象的です。きりんさんが動くと本当に動きますよ、この漫画。この巻だとリョウさんときりんさんがカレーの好みを偽っていたせいで仲違いしそうになって、という回もあり、そこでのきりんさんは野性味が増して動物化してましたが、最終的にきちんとリョウさんの好きなカレーを作って仲直り、というのをやっていまして、それが本当になんというか、二人の仲って良くなっているのだなあ、という感慨を得るには十分な回でした。ついでに、きりんさんがいないとリョウさんがどんどんと落ち込んでいくまでに仲良くなったのだなあ、という感慨も。ちょっと依存度高過ぎる気がしますが、そこも何時かフォローされる時が来ると思います思いましょう。
 さておき。
 学祭回は一回目が進路の話、二回目が椎名さんと椎名母さんの話、と明確に区切れます。
 進路の話は、みんなバラバラになっていくのかな、というのをまたしてもきりんが、え? 会いたいなら会えばいいじゃない。とあっさり言って、でも実際その通りで、会えばいいんだ。というかルームシェアして一緒に住むのもありじゃん。ってなって、この三人の関係がかなりの部分まで進んでいるのだ、と気づくと共に、そういう人、友達がいるのはいい事であると感じ入らせてくれました。その後でさぼったせいで一緒に怒られる、まで含めて、この三人の在り方だな、とも。
 椎名さんと椎名母さんの話は他の母君達がいる中で椎名母さんだけやってこない、となって椎名さんがそんな事だろうと思った。と達観しているようにみえて、実は相当ショックだった、というので一瞬ひやりとするのですが、その後で椎名母さんはなんとかやってきて、それで椎名さんは何のかんのというものの、ショックで味がしなかった豚汁の味を感じられる程度にはショックが無くなってた、というので、なんというか難しい関係だよなあ、親子、特に母と娘は、と思わされます。でも、来てくれてよかったですよ。このまま来ないで終わったりとかしたら、椎名さんグレる可能性すらちょっとありましたし。本当に良かった。その陰で、リョウさんと緑さんがまた地味に交流してるのもポイントですね。この巻ではこの次の日に二人きりになって両者ガッチガチになってしまうのですよ。きりんさんときりん母さんがいた時はそんなにでも無かったのに! でも、今回もどこか変だった関係が共に餃子を作る事でまた近づいて、少し違う形になれるかな? という雰囲気は出ておりました。ここはかなり複雑なポイントなので、じっくりと解決してくれる様には喜びがあります。あんまり速攻仲良くなるっていかないでしょうしね。
 さておき。
 今回の巻もつくるー♪たべるー♪でありますが、今回のたべるー♪パートの最有力は内木先生とリョウさんの節約レシピ修行回。内木先生がたべるー♪すると大体異次元の食レポになるこの漫画のてつのおきては今回も揺るぎません。今回はリョウさんも乗っかって、即席漬けのもやしときゅうりを発見! という段階の絵が、本当にもやしときゅうりが人ごみの中に! だったので中々にカオスな一コマでした。何見えてるんだあんたら。そういう部分でのこの漫画の変な所は今回も健在であったなあ、と思ってこの項を閉じたいと思います。