感想 位置原光Z 『お尻触りたがる人なんなの』

お尻触りたがる人なんなの

お尻触りたがる人なんなの

 大体の内容「青春と言う名の下ネタ」。著者前著『アナーキー・イン・ザ・JK』でも青春と言う名の下ネタを爆裂させていましたが、この『お尻触りたがる人なんなの』でもその様は変わっておりません。アナーキーの基本的な面子というのがなくなった分、よりキャラクターの幅が広がっております。その上での下ネタ。それが『お尻触りたがる人なんなの』なのです。
 下ネタというとどうしても道満晴明せんせを思い出す方もおられましょうが、あちらは突き詰めた透徹さ、すっきりとした香りがあるのに対して位置原せんせの下ネタはどこか泥臭い。それも青春の泥臭さです。青い春ゆえの腐乱した臭い。いい臭いであります。そしていいエロネタなのであります。まあつまり下品! な訳ですが。
 さておき。
 下ネタ! とはいえ、この漫画のそれは直接的なエロとは訳が違います。基本的に会話の中での下ネタで、基本的に描かれている範囲内では行動には移しません。この後メチャクチャ何かしたような雰囲気もあんまりなく、ただエロネタ、下ネタをしていくというのがこの漫画の肝であります。そういう下ネタに照れたり、居直ったり、更に広げたり、なだめたり、すかしたり、逆切れしたり、という色々なリアクション。これがいいのです。これがころころ転がって変な地点に到達するのが素晴らしいのです。前著ではある程度固定メンバーが決まっているのでやりにくかった似たようなネタを上手く使えるようになっていたり、1ページで済ます回もあったりと、より自由度が高くなって、その分下ネタの深さ、広さにも幅が出ており、そのおかげでするするとその青春臭い下ネタが脳に入り込むというやや危険な状況となってさえいます。この感じ、いいね!
 さておき。
 好きなネタは催眠術回とお○○この見たことある?回。前者は終盤まで催眠術掛ってるのかバカでやってるのか分からない、というのが最後にがっちりとした回答がでて、それでそのままオチになるぶったぎり感が素直に好きと言えます。こっから相当エロい事になりそうな雰囲気でもあったので、なんというか、この切り方、いいなあ、と。そこからいくらでもエロ妄想が捗れる、下ネタ漫画としては見事な回であったかと思います。
 ○○んこ見たことある?回は男子がではなく女子が見たことある? と友達の女子に聞いて、そこから個々人の色んなリアクションを愛でる回。野郎はその一物はほぼ1000%見ないことはない部位ですが、女子のは見ようとしないと中が見れない構造であります。それを、どう見るか、とかそもそも見る? というので喧々諤々して、どんどん騒がしくなってそのまま! という無軌道さも素晴らしい。女子トークというには下過ぎますが、取り留めもない会話としては十分なものでした。
 位置原光Zせんせは、このまま下ネタ、エロネタで攻める漫画家さんになってしまうのだろうか、ともふとは思います。そういうのなしの真っ向の仕事、下ネタも実際真っ向ですが、が見てみたいなあ、と思って〆とさせていただきます。