感想 鈴城芹 『ホームメイドヒーローズ』2巻

 大体の内容「とうとう勃発! 戦隊VS敵組織!」。1巻(感想)では敵組織になりそうな目星がついていたものの、戦隊方面もどうなるか、というのでふわっとしていたこの漫画でしたが、この巻でイビルマ様という支援者を得て、菅部家がとうとう悪の組織としての体裁が整います。それと軌を同じくして、仙台家の戦隊物へのお膳立てがやっとこ立ち上がります。これにより、とうとう正義対悪の構図が立ちあがる、ように見えて、なのが、『ホームメイドヒーローズ』2巻なのです。
 まずはじめに申し上げたいのは、正直に、率直に、この対決がもうちょっと早かったら、というのを思わずにはいられないのです。きっちりとした下地作りから生まれるこの巻終盤の展開は抱腹絶倒で、これこれ、これが見たかった! と言ってしまうものであります。これを早く見せてくれていれば、あるいはもうちょっと長めにこの漫画を楽しめたかもしれないのに。そういう思いに、再読をすると囚われてしまいます。そう言う意味では、きらら4コマにおける下地作りの難しさ、というのが露呈した格好ですが、それでも、終盤の戦隊VS敵組織の構図の複雑さ、敵組織の一般兵が重さが無いから投げとか重い打撃にすこぶる弱いので、心得のある人なら意外と対処可能! →怪人(着ぐるみ)の無力化攻撃があるよ! →マスク密閉してるから効果ないです! 体でバトれ! の流れはガチで楽しかったです。仙台家の研鑽が無駄ではなかったのだ、というのも含めて素晴らしい展開ですよ。ここのある意味とんちみたいな織りなし合いが、この漫画の終盤の面白さの担保であります。色んな要素が組み合わさって噛み合いあって、とても変な、でも楽しい展開になっていて、それが本当に良かっただけに、2巻終了を惜しむ気持ちを止めようがありません。
 さておき。
 うちでは三キャラ感想というのを毎月やってましたが、見直してみると阿久乃さんが出てた回は大体阿久乃さんについて何か書いているので、俺は阿久乃さんが好き過ぎる事が確定的に明らかです。そりゃ、悪の幹部ポジでおっぱい&エロ要員なんて少年の心にひっかき傷を残すにきまってますやん! しかもおっぱい強調服! OPIOPI! ってなりますやん! 紅里さんもある方ですが、あの人はブライアン=バトラーめいた表現されたりするので、ノーカンです。だからおっぱい枠! それだけで、満足するしか、ないじゃないか……。
 という冗談はさておき、最後に正義の味方の話をしましょう。この漫画最後の展開として、レーラリン=阿久乃さんが仙台家の正義性について攻めるという精神攻撃は基本をするんですが、そこでの麻凛さんの回答は中々面白い訳ですよ。つまり、正義の味方だからって正義である必要はない。悪い奴だけど、正義に<味方>するのだってありだろ、というものですが、これについては成程なーであります。<味方>であって、正義ではない。街でちょっと無茶しちゃう、そんな悪い奴でも、正義は守れるんだ。そういう意味合いだと感じて、うん、その手があったかと。麻凛さんは先に阿久乃さんがレーラリンとして出てきた時も、設定の弱さを突いて撤退させるという金星を挙げてましたが、この正義の味方の話も、また大変機知に富んでいるなあ、というものであります。伊達に戦隊が好きな中学生って訳じゃないですね。中学にもなれば、そりゃ色々考えるよ、というのも伏線はなかったけど、でも感じ取れるなあ、と。そう言う意味では、この正義について言い返す役が麻凛さんなのは、むしろ理の当然なのかもしれなかったのではないか。そう考えるのがむしろ自然。とか思ってみたり。まあ、もうちょっとちゃんとした正義の味方になれたら、とも思ってそうですけれども。烈人とか、特にあの意見には異がありそうだよなあ。
 この巻で印象的なのはまず終盤なんですが、その前にスーツデザインの話があり、そこでのちょっとした台詞、こうやって何かしているのが家族としての繋がりになっていくんだろうな、という悠羽さんの言葉が、やはり大きかったり。広義で言えば、この漫画は家族物だった訳で、それに戦隊のふりかけがまぶされている、というのだったんだなあ、と思うと、やっぱ掲載誌違ったら違ったかもなあ、とか考えてしまったりもします。何度も言うけどもうちょっと見たかった。
 とかなんとか。