感想 PAPA 『ミソニノミコト』1巻

ミソニノミコト (1) (まんがタイムKRコミックス)

ミソニノミコト (1) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「サバノミソニノミコト、降臨」。日本には八百万の神々がおわします。それなら、鯖の味噌煮の神様だっていたっていいじゃない。卯の花の神様だっていたっていいじゃない。そういう面構えでお送りされるのが、この漫画『ミソニノミコト』なのです。
 もうちょっとどういう漫画かの説明が要りますね。しましょう。この漫画は来年受験を控えた受験生の瑞穂さんの下に、鯖の味噌煮の神様、サバノミソニノミコトがやってくるという形で始まりいます。受験に御利益ありますか! という瑞穂さんの分かり易い頼みに、鯖の味噌煮を美味しく出来るよ! と返す辺りで受験に対する御利益が皆無! ということでなんとなく居る神様として、ミソニ様がキャラクター付けされてしまいます。いいのか神様、そう言う扱いで。とはいえ、それから瑞穂さんも色々と神様に出会うようになったりするので、成績面以外の御利益はあったのかなあ、という感想を持ってみたり。縁は宝ですから。
 さておき。
 この漫画は基本的にチューブド・マグロ・ライフサイクルじゃねえライフギャグ4コマというのを帯に冠しているので、基本的にはギャグ調で進みます。ミソニ様のいる日常のシーンはどれもくすりとくる、そしてライフギャグという謎言の葉もしっくりくる、ファミリー4コマの雰囲気のあるネタで攻めてきてくれます。しかし、それだけではミラクでは生きていかれません。そういう土地なのです、ミラクとは!
 ではどう生きているかと言うと、この漫画は所々適度でディープな神様ネタがぶっこまれており、それが他の漫画と違いを見せているのです。それもネタとしてするりと入ってくる腕の良さで、特に神仏習合の話はネタ的にしつつもきっちりと基礎の建っている仕業でありまして、この漫画を「へえ、いいトコ(漫画)じゃないの」と言ってしまいたくなる筋の良さであります。
 また、瑞穂さんのお友達の風路さんとエミリさん、そしてミソニ様の友達ウノハナ様などが加わってのドタバタも良いものです。その中でミソニ様が今までしていた生活の話だとか、風路さんとエミリさんのオカルト趣味(幽霊とUFO)への相対し方だとか、エミリさんがウノハナ様の神棚を設置して上げた話だとか、そういうのが大変手際よく、そして感じ良くされるのです。特にエミリさんが家に住まわせているウノハナ様の神棚を、の話は本当にいい話で、じんわりとくるものがありました。でも、過度にはやらない節度があるのもこの漫画の持ち味。ちゃんと相手を選んで落としていて、ウノハナ様の神棚の話だとミソニ様がオチ担当だったりしますが、そういう所も抜け目ないな、とか。基本的にウノハナ様いい神様ですから、オチに使うのはケースバイケースで、ミソニ様は大体なにかしらオチに繋がることしているのがいいです。その辺の見切りというか、配役の妙を感じます。その辺が今後もしっかりあれば、ライフギャグ漫画ということで、結構長々と続けられたりするかもしれません。というか延々見ていたいですね、この漫画。
 とかなんとか。