感想 島本和彦 『アオイホノオ』14巻

 大体の内容「これが、佳作に入った者のオーラ!」。というのが十重二十重と違う様を見せる、それが『アオイホノオ』14巻での焔燃なのです。
 既に13巻の段階で賞の隅っこにでもひっかかった、とは読者側は知っていましたが、それが佳作として拾われたのはちょっと想定外でした。わりといい位置やん! ということで勝ちオーラを纏う焔ですが、友達はそれ程大げさに喜んでくれなくて、あれ? 俺今勝ちオーラだしてるよね? という感じで勝ちオーラが消失していく、かと思ったらまた復活したり、と思ったら負け犬的飲み会でオーラが真反対になったり、と思えば、受賞をトン子さんなどの女性にそのことを伝え歩いて予想通りの反応であがったりと、オーラが出たり入ったりする様がなんともいい感じの駄目さ加減でありました。ちょっとしたことで出来たオーラが衰えたりするのって、なんともらしいとも言えます。今までの焔を見てきたこっちからすると、そうあって欲しい。一気に上昇風に乗って天狗にならないでほしい。そう思ってしまうのですよ。
 そのオーラ全開乱高下の中で一番良かったのは、『必殺の転校生』をライフワークにする! と宣言する所。と言っても聴衆は一人だけなのですけれど、それでもその言い草はちょっとカッコイイという判断される辺りが佳作オーラのなせる技でしょうか。言ってることは楽して食っていく! という完全に駄目な発言なんですけれども。でも、一度でいいから言ってみたいですよね、ライフワークって。だから言い放っちゃうのも分かるには分かります。でも楽して、って無理だろうなあ……。楽しいにならないと駄目な案件ですヨネ。
 さておき。
 この巻のハイライトは、焔が東京について受けるアウェーの洗礼。まあ、焔の場合はほとんど偶然出引っかかってるので分不相応という部分もありますし、編集部の権謀算術のせいで担当がいきなり変わってしまうという悲劇とも喜劇とも取れない状況がそうさせるんですけれども。とはいえ、非常に微妙な応対されて凹む焔は流石にかわいそうでした。君の描く女の子は全然可愛くない! っていきなり言うのもどうなんだろうというのも思わされます。この辺は恨み節なのかなあ。今後の展開もそういう節が多くなってくるのかしら。プロになる、というのがゴールと言えば、そうなんだけどそれもある意味ゴールという明確なものではない、焔の人生はまだこれからですから、余計に駆動系がそういうのになりそうなんだよなあ。どうなっちゃうんだろう。というか、どこがゴールになるのかなあ、この漫画。炎燃のあのヘッドギアを装着する辺りで終わる、のかしら?
 とかなんとか。