感想 杜康潤 『孔明のヨメ。』5巻


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孔明のヨメ。 (5) (まんがタイムコミックス)

 大体の内容「おお、どんどん三国志!」。ということで、以前から進んでいた三国志の内容への寄りこみが、今回でそこそこ進んだ、それが『孔明のヨメ。』5巻の概観なのです。
 今回の三国志的トピックは、徐兄と劉備接触でしょう。三国志史実的な接触ではなく、杜康先生の創作として立ち上がるファーストインプレッションというべきな、偶発的な遭遇ですが、そこで十分に劉備の人となり、徳がでており、この後三国志史実的な徐兄の劉備への接触から、孔明の紹介、そして三顧の礼へと向かっていく道筋がここに見えてきた格好です。ある意味では、孔明の無名期間終了のお知らせが近づいてきた、つまり嫁である月英さんとの生活というのががらっと変わってくる道筋に乗った訳でして、それ故にこの漫画がどういう方向に振れていくのか、という懸念が湧いてきます。まだ結構先の話とはいえ、それだけ無名時代の話が創作多めだろうとはいえ面白かった訳ですが、これから激動の中に放り込まれてどうなるのか、というのが気にかかります。でも、杜康先生は孫武の話を創作した『江河の如く 孫子物語』で、ゆるめの話ではない部分でもきちんとしたお仕事をされていたので、三国志史実的な話になっていっても、大丈夫なのは間違いないのですけれども。この漫画でも三国志史実的な部分もちゃんとされていますし。でも、孔明さんの無名時代の話をクローズアップ、というのがこの漫画の説明に使えたのが、今後少なくなっていくと思うと、ではあります。そこは新しい説明を覚えるべきでしょう。ということでそれについて考えると、やはり孔明さんと月英さんの無名時代から有名時代のお話、でいいでしょうか。前半は無名時代、後半は有名時代。って割り振りでもいいだろうし。でも、もしかして有名時代になったら終わる、とかだったら……。面白いから杜康先生の三国志描いて欲しいですけれども。その辺はやはり応援次第でしょうか。頑張って!←そう言う応援と違う
 それはさておき。
 今回の巻はどんどん三国志、という言葉を先に書いたように、三国志の登場人物がもりっと出てきて活躍しております。徐兄と劉備もそうですが、趙雲の近侍としての優秀さとか、郭嘉の策を速攻理解する曹操の格好いい感じ――三国志系列の作品ではヒールが多いせいでいまいちな人扱いが多いけど、この漫画ではちゃんとしっかり切れ者――とか、情報収集に全く向いてない張飛関羽の飛びかかる程の劉備スキーっぷりとか、孫堅の死んだ場所に赴く魯粛の話とか、どんどんと三国志の人物が出てきます。そういう面でも、この漫画が三国志の漫画であるというのが自分の中で浸透してきています。今回の巻では三国鼎立の案の前振りみたいなシーンもありまして、ある意味三国志包囲網とでも言える三国志へ寄っていく感覚がありますが、でも嫌いじゃないわ! 知っている人が出てくると、やっぱり盛り上がりますし。
 それはさておき。
 孔明さんと月英さんのいちゃラブについては、今回も高値安定だと覚えていただければ十分です。二人ともまだまだお互いのことを知らない、特に昔の話は、ということで、今回は祭儀の話の中で孔明さんを楽しませたい一心で均さんに孔明さんの昔話を聞くシーンが入ります。そうやって、知っていくのだなあ、という感慨がありました。孔明さんが葬儀の儀礼について知っていることの理由とかも月英さんが知ったりして、更にお互いのことを知っていくのだなあ、というのがまた。幸せなことも悲しいことも、お互いに分かち合っていく中になっているのがいいのですよ。そうやって、近いけどより近づいていく、と今後どうなるんだろうか。接吻すら結構時間がかかった二人だからなあ……。そこがいいんだけど、焦れったいとも言えます。
 とかなんとか。