感想 高尾じんぐ 『くーねるまるた』7巻及び8巻


くーねるまるた(7) (ビッグコミックススペシャル)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「マルタさんが、結婚!?」。はっはっは、そんなまさか。はっはっは。という視線を逸らしたくなる場面があるのが、『くーねるまるた』7巻なのです。
 まあ、当然結婚なんてする訳じゃないんですよ。神永さんが単なる勘違いをしただけです。でも、そういう人が本当にマルタさんの前に現れたら、私は素直に祝福できるのだろうか。そういうことも思ってしまったりします。単純に萌えタイプの漫画ではないので、マルタさんを俺の嫁、とまではいかないし勝手に言うのも違うだろうとも思っているので、それ故に現実味が浮かんでくると現実味が飛ぶ、という謎の心境になってしまいます。でも、彼女が幸せなら、それはいい事なんじゃないのか。と、思うしかない。でも、なんかさみしい。何だろうこの気持ち。
 という半ばの冗談はさておき、この巻で一番ぐっときたのは、夢の中でアラビア衣装なマルタさんと神永さんでしょうか。マルタさん、ある方だとは思ってたけど、しっかりある! というのと、神永さん、そんなでもないのかと思ってたけど、しっかりある! とバストにしか目が行ってない駄目な視点が爆裂しておりました。エロスではありますが、上品なエロス、という意味不明ワードがこっちで勝手に出てくる感じだったのがよりツボに入る結果になっています。グゥーレイト!
 さておき、この巻はある意味いつも通りで進んでいきますが、実は8巻への橋渡し的な回もあります。それが福引が当たる回。この回のおかげで、この漫画は東京圏から離れ、盛岡へと向かっていく事になります。


くーねるまるた 8 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
(画像、文章、どちらもリンクが物理書籍のページ)

 大体の内容「盛岡旅情編。その後はいつも通り」。マルタさん、初の日本旅行。それが福引で当たった盛岡旅。それをしていくのが前半、いつも通りなのが後半。そう言う構成になっているのが、『くーねるまるた』8巻です。
 盛岡旅は大変堪能されていましたが、貧乏旅でもあるので、その辺の苦慮等も見れて大変楽しかったです。予想外に長居することになるというのもきままな旅らしいし、そこで色んな人にあっていろんな体験をするのも旅らしい。がっつり取材旅行をやったのが分かる内容でした。特に山菜採りの回は突如登場するクゥマがあんまり意味が無かったという、それが逆に旅らしい風情だったのが良かったです。一応、帰った後にニュースでクゥマ出没の話題が出て、えー!? ってなってたのも合わせて、旅の恥はかき捨てとはよく言ったものだなあ、という感想をもったりしました。それだけ旅の感じがきっちり出ていた、ということでしょう。
 旅から戻った後はわりといつも通りでありまして、でも変な回もちまちまとあって振れ幅がいいのです。一番はやはりLS研究会回。あれだけ人が密かに、でもないか、集まって何をしているかというとレモンサワーうめー! というだけな辺りがこの漫画の凄みを感じます。クエン酸入れるとうめー! を発掘したマルタさんが時の人扱いで更に得体のしれない強さを感じました。何だこの回。そういう回も偶にあるがゆえに、普段のゆったりした貧乏生活が楽しめる、ということにしておきたい。そんな『くーねるまるた』なのです。