感想 あfろ 『ゆるキャン△』1巻


ゆるキャン△ (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
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 大体の内容「ゆるキャン? YES,ゆるキャン」。女の子達が多人数で、あるいは一人で、あるいは二人でキャンプする漫画。それが『ゆるキャン△』なのです。
 本当に上記のまとめての言葉で全てが言い表わせていると錯覚するくらい、女子がキャンプでゆるゆるとするだけの漫画なんです。これを如何に解題するか、というのは現代のオタに科せられた一種の枷ではないかと思うのですが卿らはどうか。そんなローエングラム伯顔な私ですが、このゆるい雰囲気というのをあの、そう、あの! あfろ先生が描いているというのが実際の所、驚き半分納得半分なのですよ。そこの話からしていきましょうか、
 あfろ漫画というのは、今までは素っ頓狂ブラザーズなギャグ調のノリがメインとして出ていました。とてもヘンテコ、とでもいうか、発想の流れがおかしいというか、よく出るなそのネタ、というぶっ込み具合が肝であったかと思います。しかし、それはあくまで表面。裏面が当然あるのです。それが、なんだかよくわからんがとにかくいい雰囲気。なんだかよくわからん、というのは、今までの表面からするとどうしてこの雰囲気出せるんだ!? という逆ベクトルでのぶっ込みとして機能していたからで、その実は、作品にゆるい、しかし心地よい雰囲気をするっと出せると言う業前が、あfろ先生にはあったのです。それが、ガチガチのギャグノリの中に、ゆるいがゆえに抵抗なくするりと入り、そこからいい雰囲気に持っていくというテクなんですよ。『月曜日の空飛ぶオレンジ。』で言うなら、ヨシノが兄貴のバイクを見つけた>落とし穴>バカめ>封書が!>なんやその写真!>からのー、という一連のボケコンボからするっといい話が挿入されていい雰囲気になる、あの辺りの独特の空気の使い方の美味さこそ、あfろ漫画の神髄なのです。その神髄を、ゆるい話を描くだけに費やした漫画、それが『ゆるキャン△』だとも言えます。つまり、あfろ先生の今まで見せてたけどそれメインなのは本邦初公開な訳ですよ。これは痛い信者な私でも生半には受けきれません。上のような妄言を吐くことでなんとか耐えていると言った現況であります。
 冗談はさておき。
 この漫画についてもうちょっと書くとすると、キャンプという物が持つイメージ、というのが軽やかに更新された感じを受ける点が重要でしょう。特に、リンさんの一人キャンプというのは個人的なキャンプ像から激しく逸脱して、しかしそれでいて大変素晴らしいものにも見えて、中々エキサイティングです、特にこれといって何かする訳ではなく、ただキャンプ場でぼんやり過ごすだけというそのある種侘びた感じが大変衝撃的です。キャンプってわいのわいのするもの、って完全な先入観があったことを思い知らされます。そして、その侘びっぷりが堪らなく羨ましい。特に秋キャンプでしかも時期も過ぎ去りそうな頃なので、本当に一人だけでぽつんとキャンプしているリンさんのその行いは、なんというか余人が入れないような雰囲気すら感じたりしました。
 そこにするする入っていくなでしこさんはホンマ空気読まない子ですが、だからこそ割って入れる、という立ち回りなんだろうなあ、とも。この辺は配役の妙を感じたりします。リンさんがあまり友達を作ろうとするタイプじゃないから、一線引く。だからこそそれをあっさり乗り越えるなでしこさんとの関係というのがなんか面白いんですヨネ。この辺が今後どうなっていくのか。野外活動サークルメンバーとも一緒にわいのわいのするのか、あるいはやっぱり一人とか二人とかでしっとりと過ごすのか。どっちにしてもついては行きますけども。
 とかなんとか。