感想 内藤泰弘 『血界戦線Back2Back』1巻


内藤泰弘『血界戦線 Back 2 Back ライツ、カメラ、アクション!』
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「内藤泰弘先生の完全続編美!」。ということで、来ましたよ、『血界戦線』第二部。この二部、グレートですよこいつは……。
 今回は連載分三話と描き下ろし一話の4話アソート構成ですが、最初の『ライツ、カメラ、アクション!』で『血界戦線』がどういう漫画だったか、皆知っているね? 忘れてはいないね? でも一応見せておくよ? というとびきりの優しさと俺のファンサービス! 具合が見事にミキシングさせてきております。つまり『血界戦線』のキャラとはどうだったか、あるいは世界観とはどうだったかをきっちりしつつ乱ちき騒ぎを描くという離れ業を見せてくれるのです。特にメインメンバー全員に見せ場がきっちりありつつ、でもそれ程長くないので話に花を添える程度な辺りが本当に離れ業です。これから入る人にも大体どういう感じなのかの提示として立ち上がっているので、第一部の全十巻をいきなり揃えるのは難しすぎんよォ。という洟垂れ小僧にもこっから入ってもいいのよ? という提示をして沼にはめるのもありなのでは、という出来栄えです。特にこの回のキーアイテムのアッカーマンさんの現状生首という状況の恐ろしさと、生首で更に命も狙われているというのに全然動じてないその度を越した冷静さが噛み合ってシュールというにふさわしい展開なのに、アッカーマンさんの矜持がかっこ良過ぎていい話になるという謎具合は本当にこの漫画をこの話ではめられるな、という感想を持つに十分です。『血界戦線』全体通しても素晴らしいと言える回ではないかと思います。
 二話目『大脱出ハンドカフス』は珍しいザップ&チェイン回。今度は色々テクニカルでしたが、オチのずっこけぶりと全体的に溢れるばかりのザップの駄目さ加減、それなのにここぞではかっこいい二人の連携が見られる回でもあります。特に二人の関係性というのが今までの積み重ねを知らないと、なのでこの辺が楽しめる為には今までの既刊ちゃんと読んでないと駄目だぞウェーハハハハ! という内藤せんせの悪役笑いが見えるかのような気がしました。一応、犬猿なのはこの回だけでも分かりますけども、今までを知っていると余計にニヨニヨ出来ます。ザップ駄目な奴だなあ(ニヨニヨ)って。←その使い方違う
 三話目の『Wacky Jive in HL』はアニメではちょくちょくでてたせいで久しいと感じないんだけど実際は結構久しくの登場のうさぴょんか……、堕落王フェムトの登場回。わりとページ数に見合った大騒ぎでした。後、飲み会は焼肉屋でした。というヘルサレムズロットの日常の回でありました。最後の飲み会のとことかのギャグ漫画めいたノリがマジでこの漫画の振れ幅すげえな。という小並感しか浮かんできません。事件の終わり方とか、あるページのこの漫画の面子の見せ場を一回で済ませたらどうなるかの見本とか、全体的にお遊びの側面が強い回だったのかな、とも。お遊びにしてはモブ厳でしたし、レオ危ない過ぎでしたが。
 四話目の『とある執事のゴールドブレンド』は小話。ギルベルトさんの弱点話でありました。ちょっとした回ながら色々と抑制が効いた内容で、他の三話の乱ちき具合からは想像出来ないくらい、すっきりとした立ち回り回でありました。でもザップはやっぱりダメなやつだなー、と小並感が出るのは避けられないですね。あいつホンマ……。
 ということで、仕切り直しての第一巻でしたが、そのパワは更に倍増している内容であったと思います。全体的に内藤てんてーがやりたことと出来ること、そして読者が見たいことの三点のバランスが黄金比になっている感じであります。元々好きだったけど、その面白さが一気に盛り上がってきた感じであります。これはアニメ二期王貞治あるで!