感想 珈琲 『のぼる小寺さん』2巻


珈琲 のぼる小寺さん(2)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「のぼるのぼる小寺さん」。今回も相変わらず小寺さんはのぼります。のぼらない小寺さんは無いと言えるくらいのぼります。そんな小寺さんを、なんだか応援したくなる。それが『のぼる小寺さん』の含有するアトモスフィアなのです。
 先に書いたように、今回の小寺さんもやはりのぼりにのぼります。マイナーながら練習施設がある学校で、ボルタリングが出来るジムで、そしてボルタリング大会で、小寺さんはのぼります。のぼることにただひたむきな小寺さん。そんな小寺さんを部活で見て、ジムで見て、大会で見て、色んな人が感化される。それは読者にすら当てはまるといえるくらい、感化力の高い小寺さんを見る。それがなんだか成立する辺り、漫画文化というものの幅の広さというのを感じずにはいられません。日常系という言葉と、スポーツ漫画というものがきちりと混交して生まれるこの不思議な、なんとも応援したくなる気持ち。ある意味我々日本人は未来に生きているのが感じられる、と言ったら言い過ぎでしょうか。しかし、自分の内から湧いてくるこの小寺さんを応援したい気持ちは嘘じゃないのです。本当に頑張る、ひたむきに、ただひたむきに頑張る小寺さんというのは、素晴らしいものがあるのです。今回のボルタリング大会ではあと一歩、でしたが、それもまたこの漫画の伸びしろとして残ったようなものなので、さてこの漫画どういう仕上がりになっていくのか。小寺さん頑張るをどこまで突きぬけられるのか。ある種チキンレースめいてまいりました!
 訳が分からなくなる前にそれはさておき。
 1巻でもちょいギャル寄りの子とか感化させてた小寺さんの感化力は、今回も当然健在です。今回では大物というか、小寺さんのいる地区の有名プレイヤーを感化させたのが一番大きいでしょうか。ちょっと天狗というか、敵がいないなーってなって油断していた宮崎さんですが、小寺さんが自分の仕掛けた部分を乗り越えるのを見て、火がついちゃうんですよ。そして、その後で小寺さんも出場した大会に出てきてきっちり優勝取っていくという過熱っぷりを見せてくれます。小寺さんの感化力はやはりパないのです。
 この小寺さんのひたむきさ、というのが更に出るのが、野球部応援回。野球部をひたむきに応援するその姿というのが、いいんですよ。当然、チアのコスチュームでやたらエロ可愛いのもあるんですが、その歪んだ視点もひたむきに頑張る人達をひたむきに応援する、自分がしているのがこんな応援をされるような競技ではないけど、でも競技をしていて、応援が欲しい時というのも分かるから、だからひたむきに応援する。この美しさというのがもう。ひたすら鋭く、小寺さんのひたむきさを尖らせたこの漫画の真骨頂とも言える所でした。そしてチアのコスチュームエロ可愛い。←結局
 とかなんとか。