感想 迂闊 『のみじょし』2巻


迂闊 のみじょし(2)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「女三十飲まれて候」。アラサーな女性陣のお酒飲みのお話。それが『のみじょし』なのです! 素晴らしくシンプルにこの漫画の要約してしまった所で、そことは違う側面というのをどうにかこねくりだしたいと思います。
 この漫画の飲むと食べるは、それによって誰かの人生が少し変わる、という風なものではありません。そこには、ただの癒しとしての飲み食いが存在するだけです。これを純度高くすると当然谷口ジロー孤独のグルメ』な訳ですが、それに肉付けをした、その肉の部分、パテの部分が大変面白いのがこの漫画の在り様を決定づけていると思います。


お値段のする缶詰食べて一杯、からのー

 それは、『孤独のグルメ』が身が軽いからこそできる部分を、逆に身が重いことで違う雰囲気へと持っていくという仕手でもあります。上の画像のように、井の頭五郎ちゃんでは出来ない飲酒、先考えない酒のあてとしての缶詰の量(この後に弁当に活用することも含めて、五郎ちゃんにはない形)、そして一人家でだからこそ出来る一人飲みの騒ぎっぷり。これらは井の頭五郎ちゃんの方が意図的にしていない部分、酒が飲めないという制約が、『のみじょし』との近しい雰囲気にもきちんと差を与えている、と言っていいでしょう。その間隙を縫うように、この漫画は酒飲み漫画として立ち上がってる訳ですよ。
 酒席で程度を守って騒ぐ、というのも、重要な部分です。酔っ払いというとギャグキャラにされてしまうくらい下手するとヘイト溜まるステータスですが、この漫画ではその部分で、酒に飲まれるというのが今のところなく、節度を守った飲酒というのが守られています。クリスタルな洋介『お酒は夫婦になってから』(1巻感想)でも、酔っぱらうとあまあまになってしまうというのを、家で、それも好きな人の前だけで、と言う風に酔っ払いの暗黒面を軽くする仕手は取られていましたが、この『のみじょし』という漫画の面々はそこそこ以上に強いようで、今まで酔っぱらってぐでんぐでんになってる場面はありません。2巻登場人物紹介で正体無くすほど飲んだらどうなったか、というのはあるので、全くそこまで行ったことが無いと言う訳でもないのもミソ。それが翻ってお酒に対する節度を感じられます。この漫画だけ見ていると、お酒を飲むのは楽しくて愉快でいいことのように見えるから、それはどうなのかとも思いますが、世の中にはちゃんと軽度ながら暗黒面が見れる漫画、『ぐらんぶる』とか『酩酊すみれさん』とか存在するので、暗黒面がみたい場合はそういうのでカウンターしていただきたい所です。
 節度を守っている以上に、高須のみっちゃんさんの動きというのがこの漫画の癒しとして立ち上がっているのもまた、事実かと思います。高須さんの動きはいちいち変でオーバーなところがあり、見ていて可愛い小動物めいています。その証拠物件を提示しましょう。


オクトーバーフェスにて。謎の猫の手。


言いたいことが出ないのでジェスチャー。むしろ分からん。


この小さくぐねんぐねんする様可愛い。


謎の対女子力威嚇ポーズ。女子力なし。


ここで一句。赤ワイン煮の赤ワイン飲んじゃったんでお腹の中で、という訳。

 他の、ユキさんもソノさんも特におかしい行動しないだけに、みっちゃんさんの動きはこの漫画のテンポとノリにきっちりいい影響を与えていると思います。他二人がその分冷静になれているというのがいいですね? こういう対処をしてくれる学生時代からの飲み友、いて良かったですなあ、みっちゃんさん。
 この巻で一番の度肝は、あれだけ飲兵衛だったみっちゃんさんが禁酒を宣言する回です。


ナンデ!?

 あれだけ、今まで飲みを楽しみ飲みまくりしてきたみっちゃんさんが、禁酒!? この序盤でこの漫画終わるのか!? と一瞬畏れ戦きましたが、以前の健康検査で尿酸値が高かったから、それが終わるまでの一週間だけで、というので、ああ……。と色んな意味で感嘆の声が漏れました。そりゃそうだ……。
 で、その後色々と酒を飲んでしまいそうなギリギリ感、そのギリギリ感が波及して仕事場の他の人も控えるか……。ってなっていったがの笑い所でした。どこまで飲兵衛だと知られてるんだ、みっちゃんさん。
 で、最終的には。


いい飲みっぷりだ!

 基準値越えずだったので復活の一杯でありました。その後も飲もう飲もうしてて、色んな意味で意味が無い気がしました。飲まないみっちゃんさんはみっちゃんさんじゃないといえばそうなので、今後も出来るだけ節制して飲んでもらいたいものです。まあ、その辺が上手く行くかどうかというとかなり確率低そうだけどな!
 とかなんとか。