感想 高橋慶太郎 『デストロ246』7巻


高橋慶太郎 デストロ246(7)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「一応の終幕。でもこいつら野放しなのか・・・」。ということで、『デストロ246』終幕となりました。最終回前まで内容の方はごたついていたものの、あの最終回をぬるっとぶっ込んでくる辺りが高橋慶太郎てんてーの剛腕としかいいようがない。それが『デストロ246』7巻最終巻なのです。
 道中の話はもうこの際どうだっていいので、最終回の話に終始します。この漫画の結論として、あの極悪凶悪女子'Sは扱いきれねえ! というある種投げだしがされたのが、最終回だったと思うんですよ。最終回近くになったら流石に誰か死ぬかな、というレベルの鉄火場にいた面々ですが、結局最終回である4年後にもぴんぴんして生き活きていて、しかも相変わらずの壊れ具合。しかし、それを辛うじて伊万里が制御している、というのがもう、一周回ってこのオチありだな! という面構えを装着しないとどうしようもない状態です。それはまあ、あの6人が関連するとちょっとした組織が木っ端と飛ぶのは実際やったので分かるんですよ。でも、その制御も危ういのは、今までこの漫画読んでると分かっているので、はたしてあの6人が今後どうなるのか。というのが見れないのがむしろいいのでは。そういう悟りすら達しました。
 実際問題、この漫画の支柱というのは曖昧模糊でした。翠と藍の透野氏からの依頼的復讐のレイヤー、伊万里の学校の殺し屋のレイヤー、苺郎党の893のレイヤー、というのがふと交わるところで話が展開していたので、それが延々と出来ないというのは理解出来る、そうそう混ざりあわないから混ざると危険だったわけでそれゆえにバリエーションもそう多くない、のですが、でも今回みたいにある種投げっぱなしジャーマンをぶっぱなされたらどうしろというのだ……。って顔になるのもしょうがないんですよ。でも、個人的にはあの子らが生き活きしているというのだけでなんだかとってもありがてえじゃねえか……。って稲田徹声になる部分もあるのが困り所。総じて、この漫画の終わり方で6人殺さないならこうするしかない、という製作サイドの見切りが亜空間にぶちかまされたのが今回の最終巻になっているのであろうか、という邪推すら発動します。
 さておき。
 一番もやもやするのは、やはり透野氏の復讐が完結していないことなのでは、というのが自分の中にはあります。最終回でまだじりじりと実行中であるのは仄めかされますが、もうちょっとダイでハードな展開があるのか、と思っていたんですよね、私。でも、もうちょっと穏便に、というのには物騒過ぎますが、暗殺していく形になっていて、それが消化不良に見えるのかな、とも。伊万里と苺郎党の方は特にこなすべきタスク無いので、余計にこなすタスクがある翠藍に意識が行ってしまった、ということかもしれません。でも、そこちゃんとやるとやっぱりダイでハードな展開になったろうなあ。更に関係しそうなのが伊万里がなんとか出来るだけで、苺郎党は絡めない可能性がかなり高いから、余計にする訳にもいかなかったのかも。そういう邪推ばかりが発動します。
 最後に総評めいたことを書きますと、好きなことをきっちり描くって大変なんだなあ、というのが、二重三重に感じられる漫画でした。本当に好きな内容で描いてたんだなあ、というのが分かるし、それを綺麗に閉じる方法が最終回の流れしかなかったのもなんとなく理解出来るし、でもそれでしっかり楽しませてくれたんだなあ、というのも腑に落ちるので、そういう意味では得難い漫画だったなあ、と。『ヨルムンガンド』も買って、次回作、楽しみにしていよう。
 とかなんとか。