感想 紙魚丸 『惰性67パーセント』2巻


紙魚丸 惰性67パーセント 2
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「女子大学生コメディ。なんと聞こえのよい言葉か―――」。ということで、今回も下ネタ大満載の百花繚乱な漫画。それが『惰性67パーセント』2巻なのです。
 大学生+下ネタ、というと『ぐらんぶる』辺りも連想される方々もいらっしゃるでしょうが、あっちのビール色のある種輝く青春とは違い、こちらの青春色はドドメ色。なにせ海に行ってしたのが結局砂に埋まった男爵を蹴られただけですから、どんだけ色の違いが酷いかお分かりになろうものです。大学模様なのにどうしてこうなるのだ……。
 他の話も下ネタと益体の無さでは弩級の、でも内容的に弩級って違うよな……、とにかくどうしようもない話が積み重ねられます。特にあれなのをピックアップしますと、亀甲縛りをする回“緊縛遊戯”、エロ本の隠し場所話“青春の隠し場所”、そして読み切りだった“多摩バリスティックゼラチン”が特にどうのしようもない回でありました。一つずつ見ていきましょう。
 亀甲縛りをする回“緊縛遊戯”は吉澤さんが持っていたSM雑誌から端を発して、実際に緊縛してみよう。とするけどされるのは野郎。というダムシット! 案件です。まあ、そりゃ女の人にそれやったら色々まずい、性行為じゃないけどちょっと世間体的にまずいので、その方向はしょうがないけどダムシット! そして糸目が案外緊縛について詳しいという謎のオチ。ビニヒモは確かに伸縮性ないよね。うんうん。テレビでそういうこと言ったりする、かボケぇ!
 エロ本隠し場所話“青春の隠し場所”は皆の昔のエロ本隠し場所の話という変化球の下ネタですが、他人の家のトイレの屋根裏、墓場近くの空き地の土の下、ランドセル内、と各々豪の者過ぎる隠し場所で、全部どうしてそうなったとしか言いようがない話でした。特に墓場近くの空き地の土の下は、何をしているのかと親にばれて、でもエロ本を埋めているとは言えないので「自分でも分からないんだよ!」というあんまりと言えばあんまりな回答をするしかなかった、というのがツボでした。そう答えるしかないけど、カウンセリング案件です。
 読み切り版である“多摩バリスティックゼラチン”は吉澤さんが借金のかたに胸の型を取ることになる話。もうそれだけでどうしようもないんですが、そのやり方もやけに具体的で実際にやったことあるのかお前!? というもの。そして最終的におっぱい型プリンがネット上に出回って誰かの懐が潤うという流れになって流石に草ぼうぼうランドでした。誰が買うんだよ! とも思うんですが、精巧なおっぱいプリン。精巧なおっぱいプリン。いや、あるのか?
 さておき。
 この漫画のどうしようもなさ、というのは本当にどうしようもない。だからこそ、フィクションとして処理出来るんだけど、下ネタの妙なリアリスティックな所、例えば先の乳型の話の石膏が発熱するけど火傷はしないよ? とか、ヌードデッサンは脱いでるとこより脱ぐ寸前の動作こそだろうが! とか、ちょくちょく成程と唸らせられるんですが、なんでこんなので唸らせられなきゃ、なんだよ、という自戒も湧いてくる辺りが本当に困ります。どうしようもなさにプラスしてどうしようもない知識。この辺りの組み合わせのどうしようもなさがどうしようもない。そんな感じな『惰性67パーセント』。今後どうなるのか。延々大学生するのもなんか観たいな。