『ガールズ&パンツァー リボンの武者』を皆読むといいです。


[まとめ買い] ガールズ&パンツァー リボンの武者

(注:若干のネタバレがありますの)
 皆さん、『ガールズ&パンツァー』はお好き? 結構! ますます好きになりますよ。
 ということで、『ガールズ&パンツァー』のスピンアウト、『ガールズ&パンツァー リボンの武者』のご紹介です。ガルパンを見た人なら、是非とも読んでいただきたい。そういう想いを持って、この文章を認める運びとなりました。ぶっちゃけ、これだけ出来た、虎眼先生なら出来ておる喃・・・ってなるくらい出来たスピンアウトなので、もっと盛り上がってアニメ化しちゃうといいや! という気持ちも湧いてくるくらいなのです。この気持ちを発散させる為にこの項を書くことにしたといっても過言ではありません。それくらい出来ているんですよ。
 さておき。
 ガルパン本家は“戦車道”の世界の話ですが、このリボンの武者は更に小さい単位、強襲戦車競技と書いてタンカスロンのお話。それも10t以下の戦車なら後はルールはない、レギュレーションのないある種無法地帯な“戦車戦”に、咲き乱れる二輪の百合のお話です。


主人公のしずか姫と鈴さん 大変百合百合しておられる

 まあ、そういうことはいいんですよ。とりあえずそういう話なんだな、くらいの予備知識でいいんですよ。ここで私が言いたいのは、ガルパンアフターとしてのこの漫画の巧みさについてなんですよ。そういうのをつらつらと書いていきます。
 まず、この漫画は先に書いたようにガルパンアフターです。西住みほ率いる大洗女子学園が再興した、大会のその後のお話です。しかし、主の道である“戦車道”ではなく、あくまで邪道とすら言える“戦車戦”なのがポイント。ルールが10t以下級である点以外は、全く何をしてもいいという、道として洗練された“戦車道”とは一線を画す、そういうところに、ガルパンで名を馳せた学校が名乗りを上げていく、と言う話なのです。なので、キャラクター面ではガルパンを知っていると大変すんなり入っていけるし、こんな場末めいた試合にどんどんとネームドが参戦! というある種スーパーガルパン大戦みたいな、それも劇場版とはまた違った集合の趣きが得られるものとなっております。


当然皆大好きアンツィオも出るよ ちゃんとOVAで出た台詞も言うよ

 これだけでもガルパン視聴済み組としては大変面白いのですが、もう一度書きますがこれはガルパンアフターなのです。なんとか以後という言葉を使って許されるならば、大洗以後なのです。つまり、大洗旋風が吹き荒れた後、その後のお話なのです。先の画像のしずか姫と鈴さんも、その余波でタンカスロンをすることになっていく訳ですが、それよりも多く影響を受けたのはどこか。当然対戦チームな訳ですよ。それが一番色濃く出ているのは、間違いなく黒森峰でしょう。


変わる決意が伊達ではないのは、その可愛らしい姿が物語っていますね?

 妹に負け、己の不明を恥じたまほさんが行うのが、上下関係のガチガチさを緩和する方策。その為にノンアルコールビールでのお接待。それを作ったのは伊達や酔狂ではなく、確実に強くなる為。この辺のマッシブな思想はやっぱり黒森峰ですが、でも単なるマッシブじゃないのが、大洗以後という状況を表していると思います。
 さておき。
 ガルパンアフターですから、当然進級や卒業という部分が仄見えるところがあります。明確にそこについて指摘がある場面はないのですが、偶にそれを見越した言葉と思しき部分があったりするのも、アフターならでは。


納得出来ない勝利だが

 上記画像はサンダースの三車両対しずか姫の一車両の戦闘後のシーンです。アリサさんは二車両を送って戦った結果、勝ちを拾ったみたいになった訳ですが、ここではケイさんが自分なら一車両ずつ戦わせて、負けていただろう。と自分の戦術について韜晦している場面な訳です。そして、勝利に納得できてないだろうけど、それがアリサさんの慎重さが生んだ勝利だ、と言外に言っている訳です。ここを、ケイさんが卒業した後はアリサさんが率いていくだろうサンダースの為に、その勝利を受け入れろ、と、でも本人には言わないというターンな訳ですよ。勝利というのにも色々なあわいがある、というのと、そこをアリサさんがどう受け入れて、次代のサンダースを率いるのか、というのが仄かに見える。そんなシーンです。ゆえに、ガルパンアフターな訳なのです。
 さておき。
 この漫画のもう一つ、ガルパンアフターとしてという点以外にいい点として、女の子の笑顔がとてもチャーミングなところがあげられるでしょう。一例を載せます。


チャーミングですヨネ。(本国流法)

 そうです。禍々しいというレベルまで笑顔が煮詰まっているのが、この漫画の良さなのです。基本可愛い女の子達が、凶悪な笑顔を浮かべて“戦車戦”に臨むのです。それをチャーミング以外の言葉で表すと百鬼夜行、とでもいえるものでしょうか。彼女たちをここまで駆り立てる“戦車戦”、あるいは一周回って“戦車道”の魅力とは一体。そういう気持ちにもなってしまいます。でも、皆本当に楽しそうなんですよ。やりがいがある、というのはここまで人を輝かせる、暗黒的にであっても、ものなのかと思ってしまう純度ですよ。
 笑顔の画像はもう一つあります。それは皆大好きダージリン様の笑顔です。この漫画ではダー様はあちこちの学校にタンカスロンをしないか? と打診して回るけど自分たちは一切しないで観戦のみ、というほとんどプロモーターの仕事しかしてないんですが、この辺りの意図は何かあるのか。そういう気持ちにさせられる笑顔です。


玄妙としか言いようがない

 ダー様というと冷静沈着で微笑み鉄面皮ですが、この笑顔はその鉄面皮からこぼれおちる何かな訳で、果たしてダー様の目的とは。そこんところが分かってくることもあるんでしょうか。そう言う意味でも、ガルパンアフターとしてどういう物語が紡がれていくのか。気になる所です。
 最後に。
 長くなりましたが、ガルパンを見たことがあるなら、このリボンの武者も大変面白い、むしろ見た人は皆見るべきなんだよ! というレベルの漫画になっています。しずか姫と鈴さんの物語がどうなっていくのか、というのも単純に楽しいですし、ガルパンアフターという部分でも見所があるので、自分がガルパン者だと思うなら、一度手に取ってみていただきたいところです。と書いて、この項を閉じたいと思います。