感想 OYSTER 『ど先端ナース』1巻及び2巻


OYSTER ど先端ナース : 1
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)


OYSTER ど先端ナース : 2
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「ナースの中のナース。ど先端ナースなのです!」。ということで、OYSTER味のお医者さん漫画。なのでどう転んでもボケボケの味。それが『ど先端ナース』なのです。
 この漫画の基本筋は『光の大社員』の色彩を変えてみた、という雰囲気が当初からありましたが、主人公であり医者だけど医者らしいことあんましてないですよねー! な井坂育郎のナース好き話から始まって様々なキャラがわちゃわちゃする流れはお家芸の域でありまして、これだけで何杯でもご飯がいけるというものなのですが、2巻で終了と相成っております。もうちょっと続けてくださいよー! というくらいに色んなキャラがわちゃわちゃして楽しかっただけに、この終了は切ないものがあります。とがりさんの、胸はあんまりないけどない訳ではないという絶妙の表現っぷりとか、もうちょっと突きつめれば違う方向性も……。
 さておき。
 色んなキャラがわちゃわちゃ、なのは基本筋として変わらない味わいなんですが、中でもナース山(力士ナース。勿論男)のナースなのか力士なのかという葛藤とそこに付随する泉の女神の話は個人的に妙にぐっときました。ナース山が早々に病院から出奔して自分探しをしている、と言う所に泉の女神があなたの落としたのは、ってやるという三重くらいハチャメチャさが織り込まれたこのシークエンスは大変好きでありました。ナース山はその存在が無理がある、と思っていたのですが、泉の女神と噛み合うことで化学反応が起こってむしろナースで力士でないと出来ない話になっていたのが印象的です。
 印象的というと、この漫画の終盤の展開も印象的です。ナース山と泉の女神がくっつくこともですが、それだけではなく、井坂育郎と“ど先端ナース”椎名とがりの微妙な関係が大変微妙なまま終わるのが素晴らしく印象的なのです。そこに恋はあるのか? というとどうなんだろうというめんどうくささが素晴らしい。井坂育郎のナース好きの源が、実は、だけど今のどSっぷりは認められない! というここも三重くらいに入り組んでいる関係性が素晴らしいのですよ。この単純にいかなさ! OYSTER味ここに極まれり、と言っていいでしょう。ある意味ではいくらでも続けられそうだけど、この落とし方と関係性のこんがらがりっと具合は大変心地いいので、いい終わり方出来ましたね。という言葉をもって、〆とさせていただきます。