感想 アサイ 『木根さんの1人でキネマ』2巻


アサイ 木根さんの1人でキネマ 2
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「木根さんの1人でシネマでなかった頃。他」。今回もハイブロウに木根さんの面倒くささが爆裂する『木根さんの1人でキネマ』、始まるよー。ということで映画ネタしつつオタクとはどうしてこう、から更にひととはどうしてこう、という段落へと足を進める漫画。それが『木根さんの1人でキネマ』2巻なのです。
 とはいえ、木根さんもオタ全体がそうだということはありません。所謂己の尻の穴がミニマムなのは自覚されています。ジブリ映画についての話で、飲み会の皆が醜い争いをし始めた所でのこの一枚。


人のふり見て我がふり案件


業て

 とはいえ、そういう業というか、禍福は糾える綱のごとしというか、そういうのが巡り巡っているのは木根さんの今までの行動が故と言う所もあります。このジブリによる醜い争いの戦端は今まで木根さんが無理やりに映画見せようとしていた佐藤さんが開いちゃったので、まさしく巡り巡っております。でも、この回の〆はあまりに綺麗じゃないが故に大人な終わり方でとても好きです。
 さておき。
 この巻では、木根さんが1人でキネマでは無かった頃、高校時代の話もされます。まあ、当然高校生なので色々と功名心というか、独立心というか、俺はちょっと違って特別だ! という気持ちがもりもりする時代ですので、その頃の木根さんの行動は、本人も言うように黒歴史であります。


うわあ……

 この辺は色々の反動もあるんでしょうが、それにしてもひたすら痛い映画ファンのテンプレートとして立ち上がり過ぎです。そりゃ黒歴史だわ。
 とはいえ、この時代は映画の話をぶっぱ出来たある種いい時代でもあった、んだけど。というのが中々切なくあります。虚飾を貼りつかせて上の行動をしていたのに、ちょっとのことでそれがばれ、でも変わらず友達とは、ってもう胃が痛いですよ。そしてそのまま時は流れ、現在に至るまで引きずっている、というのでもう。でも、この期に、ちゃんと言う、と言う流れになったのは良かったです。過去を清算とは違うけど、折り合いをつけないといけない、と到達できた木根さんはなんのかんのでちゃんとしていると思います。

 とはいえ、最後に『タイタニック』の人がぼこぼこ落ちていくとこ最高! って言って引かれて、冗談冗談! って虚飾を再貼りする辺りはこの漫画らしいなあ、と思いましたし、その後でその縁でよりを戻した友達と家で映画見ることに、というシークエンスでもきっちり面倒くさい様を見せてくれたのもまた、この漫画らしいなと思いました。


センス問われると思うと考えちゃいますよね

 さておき。
 どうでもいい話をすると、こういう自分を偉く、というか特別に見せたいって気持ちはいくつになってもあるものだと思いますが、その部分で映画をだしにすることをしなくなった、というのが今現在の木根さんであろうかと。その分、自分納得度というのが高まっているというのは、これもある種オタクというやつの精神性という感じがします。この巻だとV8を讃えよ回とか、何で何度も同じ映画見に行くの? という問いに面白いからでしょ? って答える辺りとかが。普通の場合には同じ物を見続けるのがWHYを励起する行動であります。映画館で何故見るの? の時もそうでしたが、そこには自分納得度の為という側面がある気がします。自分がそうしたいと納得出来るから、する。それがただ映画についてだった。それが木根さんのあり方なのかなあ、とか。この辺を考えると、納得出来ることに誰しもお金を払っているんじゃないか、あるいは行動をしているんじゃないか。そういう回答が出てきそうで、それはオタクとか関係ないのかなあ、とかなんとか。


自分納得度が高過ぎるとこうなるけど