感想 浜田よしかづ 『つぐもも』18巻


つぐもも(18)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「親派と隷派の闘い! の前哨戦的な流れ!」。響華の手助けにより牢から脱出し、親付喪神派を解き放つことに成功するかずや達。そして、隷付喪神派と大会で決着をつけることに。そういう話の中で、響華はかずやと喧々諤々ながらも共にやっていく方向へ。このまま響華が後妻となるのか? という冗談はさておき、予想よりこのつづら殿での話長くなりそうだぞ……。と覚悟を決めさせられる、そんな『つぐもも』18巻なのです。
 今回の巻の勘所は、大きく3つ、上げられます。一つずつ見て行きましょう。

一つめ 響華とかずやの関係性

 今回の巻で最も重要なのは、笛の付喪神、響華とかずやとの関係性でありましょう。一度は敵同士として渡り合った響華とかずやですが、今回のつづら殿での一件で色々な事が起こり、そして色々と関係が変転していきます。特に最初は使役者として認めない、という態度であった響華が、かずやに起こったことを知って、その上で打算含みながらも手を組む、という流れから、つくも憑きになった時に問題行動を起こしてみせて、どうするか試す、というのまでやって、かずやと徐々に軸が合わさっていっている、というのが大変良いなと。まだ完全にはかずやを信頼してはいないけど、案外そう遠くなく、軸が完全に合うタイミングが来るのではないか。という感想を持つには十分な展開の仕方でありました。
 それと、かずやにまだパワーアップの余地がある、というのが響華との練習のところで分かったのも大きかったり。霊力の量とか出力とかはでかいけど、精密な操作には不慣れ、というのが響華を扱う上ではネックになっている、というので、ここがたぶん伸びしろとして今後活かされるであろう、という予感があります。これも響華との関係性で生まれてきた要素であります。
 ここも含めて、果たして響華とかずやの関係はどういう風になっていくんでしょうか。見所ですね?

二つめ 謎の狐面とは

 誰なんだあんた一体……。という感じで登場した狐面の女性。妙にかずやに突っかかったり、かずやがどこかでみたあそこをしている、とか思ったりと、まあ大体の予想は読者側でもつくんですが、でもなんで正体隠しているんでしょうね、あの人。実際にあの人だとすると、特に普通に顔出しして問題があるとは思えないんだけど。なんか隠れてやってることがあるのかしらね。とも思えます。この辺がちゃんと何かあるのか、単に顔出しがかずやの前では恥ずかしいだけなのか。その辺がきっちりと解法があるのを期待したいところです。

三つめ 迷い家付喪神達の扱い

 今回地味に大きかったのは迷い家付喪神達がきっちり解放されたところでしょう。解放され、要求を通して、やっと安住の地を、まだ仮初とはいえ、手に入れたので、迷い家付喪神達が今度どう活かされるか、というのが一つ大きな焦点です。形としては、かずやを使役者とすることで霊力減退の状況から回復しているので、そこからどういう振り分けされるのか、あるいはこのままいくのか。というのも見ていくべき点でしょう。流石に全部使うのは無理、というので暫定的な状態ではあるんでしょうが、これが何かしら意味合いを持ってくるのでは、とかなんとか。
 そしてあるみさんとみまねさんが行方不明というのも、色々と状況を動かしそうな要素です。あるみさんは特に要注意な部分です。盤面を一気に変転させる要素でありますが、これは果たしてどうなってくるのか。傀儡なんたらがここで効いてくるのかしら?

さておき

 そういうまじめな話の後は、そうです。裸タイムです。
 いつも裸を描かないと精神の均衡が保てない浜かづ屋ですが、今回は霊力回復の為だから全くの合法! とばかりに裸が乱舞されました。はっきり言って『つぐもも』史上最多の裸数だったかと思います。
 裸にしておにゃんにゃんして霊力を、の理由をきっちりつけてきたのも、今回の裸展開にとっては大きいでしょう。気持ちよくなると霊力の回復量が高まるんだよ! とか、これは男と女でないと、つまり男と男、女と女では駄目なんだよ! とか、この行為がいかに合法なのか、という設定をさりげなくなくぶっこんでくる辺り、これは前々から考えていたな……。と思わせるには十分なものがありました。
 このエロ展開の中でも響華は光ります。一回目の、言い訳じゃねえ設定を交えつつのエロ行為では気絶していたから何が起きたか分からないからノットギルティ! で、二回目は途中で裸と裸であったから気づいたけど、変態的な行為はしていない! というかずやの苦しい言い訳で一応納得して推定無罪! となったけどその後に迷い家の弱った付喪神にやっぱり同じことしてやっぱやってたんじゃねえか! でギルティ! になるという三段ドロップが個人的には大変楽しかったです。あの状況下でやられてないと思ってた響華が若干いい人であるなあ、という感想すら出てきますよ。ちょっと好感度高まりました。

最後に

 あれのこと書かなくていいのか? という問いに対しては、今から書く。と答えましょう。
 ということで、とうとう、アニメ化ですよ! 僕はずっと、待ってた! とジョナサン=グレーン声で言いたくなるくらい、待ち望んだ報であります。
 いやあ、長かった長かった。これだけポテンシャルがあるのに、ならないなんて、と思ったりしつつも、でも裸はネックだよなあ……。とも思ったりしていましたが、その辺どうなるのかは今はただ期待していくだけであります。
 とはいえ、このアニメ化の話、どうにも紆余曲折があったっぽいのがあとがきで書かれていて、その書かれた内容を見て、ああだからあんときそういう展開に、というのが自然と納得できたりしました。なるほどなー。でも、それでもアニメ化までたどり着いてくれてよかったですよ。いい漫画なので、この機に読者が増えてくれたら……。そんな妄想めいた言葉でこの項を閉めたいと思います。いや本当に、この作品について一緒に話せる人が増えたらいいなあ。