椿いづみ 月刊少女野崎くん 8巻
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)
大体の内容「じわじわと、アシばれが」。今までお互いが野崎のアシスタントをしているのを知らないミコリンと若松。それがとうとうそのことを知ることになって……。というのがだからどうした、なのが、『月刊少女野崎くん』8巻なのです。
今回の巻で一番好きな所の話をいきなりぶっぱなしますが、やはり僚介さん(瀬尾さんの兄)が鹿島君をバイトの穴埋めに呼ぶ回周辺でしょう。
この回は色々なことが起きます。僚介さんが瀬尾さんの好んでいる若松のことを聞いたらどう考えても舎弟…! で戦慄したり、鹿島君フォローなのか僚介さんの店に演劇部の面々が、店の客全員で、とか、僚介さんと若松がお互いをかわいそうに……、って目で見たりとか、若松に対する僚介さんの質問がレベルが小学生だったりとか。この漫画の乱打力の強さを見せつけられる怒涛の展開でした。
それにしても、若瀬尾というのは瀬尾さんがリードするという形に見えますが、僚介さんの思ったように、瀬尾さんの構い方って高校生らしくない、というか小学生っぽいのは確かになあ、と。僚介さんが若松にあったぜ! の次の日に「どっちと遊ぶんだ?」とか言い出す辺りが本当に小学生レベルです。瀬尾さんが女の子っぽくなるというのは全く考えられない、だからこそなったら大破壊力なんだろうけど、からなあ。
そういうラブ方面で言うと、今回は堀鹿島組は結構破壊力がありました。お菓子のアルコールで酔っぱらった堀先輩が素直にお前はえらいなー、って鹿島君に言うのがもう。それでここぞとばかりに褒めてもらおうとする鹿島君がもう。この二人のはラブなのか、という部分が強いと思ってましたが、案外そういうラブなのかなー、とか思ったり。リスペクト含みというのかしら。だからいちゃいちゃという感じにはならないんだろうなあ。
さておき。
回の単位で好きなのは、先に書いた僚介さんが鹿島君をバイトに、ですが、瞬間最大風速はミコリンが真由くんを合コンの守りに誘った回の、真由くんが「これ、俺のだから」と野崎に教わったことを、女性に対してではなくミコリンに使うという場面でしょう。このオチへのさりげない伏線の貼り方、野崎がさりげなく困ったら使え、と言っていたのをよりにもよって、のところのテクニカル感とオチとしての馬鹿馬鹿しさ、真由くんの性格らしい使い方だと感じさせる力、どれも卓越していました。面倒だからってお前……! というのがすごかったですね。
ということで、今回も馬鹿馬鹿しいお話ながら、ラブというには難しいけどそれっぽさはある、という内容でありました。でも、そろそろ千代ちゃんは報われてもいい。とかなんとか。