感想 沼江蛙 『照子ちゃんは恥ずかしがり屋』1巻


沼江蛙 照子ちゃんは恥ずかしがり屋 : 1
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「知ったかぶりで内容を要約するなんて恥ずかしい!」。土師照子さんは極度の恥ずかしがり屋。ちょっとしたことですぐ恥じらってしまいます。そんな照子さんの恥じらう姿を可愛いとみる漫画などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。と某アスパラガス声が聞こえてくるくらいアグレッシブでトンチンカンな恥じらいをする照子さんのそのずれを楽しむ漫画。それが『照子ちゃんは恥ずかしがり屋』なのです。
 照子さんの恥じらいポイントは人とはかなり異なります。偶に近似になる時もありますが、大体ずれています。


恥じらいの主語が大きい

 かように、そこ!? という恥じらい方をする、ある種逆張りにも見える恥ずかしがり方ですが、あまりそういうずれで恥ずかしがるというのを見た事が無いがゆえに、そこ!? という突っつきをされて、その展開の無茶さに笑いを誘発させられる。それがこの漫画の基礎点であります。
 そういう、そこを突くかー、という突き方は沼江先生の前作『ゲキカラ文化交流』でもあった部分ですが、それを更に鋭角に、高純度で攻めてきているのが、この漫画な訳です。が、勿論それだけではないのです。今回のこの『照子ちゃんは恥ずかしがり屋』は、女の子が可愛いのです!
 お前は何を言っているんだ? と突如のことでミルコ・クロコップ顔をなされているのが分かりますが、ちょっと待ってほしい。これを見るんだ。


美少女!

 基本メカクレは照子さんの面差しはとても美少女。それも一目で分かる説得性を持つレベルで可愛い。これですよ! 一応、『ゲキカラ文化交流』でも女の子は可愛かったんですよ。言っていることがビタイチ美少女力が無かっただけで。でも、この漫画ではずれているとはいえ恥ずかしい、という感情の奔流が分かり易く、ずれ過ぎて意味不明に近い感情回路だった『ゲキカラ文化交流』とは隔絶していて、なので女の子が可愛いという事態が分かり易くなっているのです。そこんとこが、前作と違うところですね。
 さておき。
 照子さんは上の画像で出しているので省きますが、キャラ紹介めいたものを。


力強い主張

 姉崎妹佳さん。照子さんのお友達で、後述の矢追さんとは小学生からの付き合い。上記画像で分かるように、可愛いものが好きらしい。あけすけで姉御肌な部分がありつつ、好きな子は? と問われたらカウンターパンチしちゃうという、可愛いものが大変好きな以外は普通な子。矢追さんと一緒に照子さんの突っ込みをする役回りです。


オタカミングアウト

 矢追友理さん。照子さんのお友達で、姉崎さんと小学生からの付き合い。上記画像で分かるようにオタクの性質を持つ。とはいえ、そういうのをあまり前面には出してこないですが。時折、画像のようなことを言ったりしますけれども。姉崎さんと一緒に照子さんの突っ込みに回る場合がありつつ、偶にこっちがボケになる場合も。


念の為に言うと左の男子ですね

 椎一葉くん。照子さんと同じクラスの隣の席の男子。後述の武智くんと友達。最初はちゃんと男の子らしかったが、徐々にこの漫画一萌える子になってくるので困る。この画像でもぬいぐるみいいなあ、ってしているのでもうなんだこの子。その上学園祭の女装コンテストに出た時は本当にかわいかったので困るし、なんなんだこの子。


この内容でこのどや顔である

 武智光雅くん。照子さんと同じクラスの男子。椎くんと友達。照子さんから恥ナポレオンという称号を得るくらい恥も外聞もない、ザ・厚顔無恥。その恥じらいのなさは隙が無い、という意味不明なくらい恥を知らない。でも、活き活きと生きているので、そういう生き方もあるのか。という変な得心を持つに十分な子です。
 基本は照子さんを含めてこの五人で回す漫画となっております。女子は女子、男子は男子、という形が多いですが、偶に混交すると恥ナポレオンが素晴らしいパワを見せて、この漫画で一番困惑させる方な照子さんが困惑する、という枠の揺らしをしてくるのが楽しいです。でも、武智くんみたいに生きてみてえなあ、という思いをもったりするのは、何か間違っているんでしょうか。ああいう、恥も何もなく、生きられたら。そんな変な思いにすら囚われるのが、『照子ちゃんは恥ずかしがり屋』の変な持ち味なのです。