今月のノッツ『初情事まであと1時間』感想文 第4回(2017年1月号)

説明

 コミックフラッパー掲載のノッツ『初情事まであと1時間』の感想を書いていくコーナーです。
 先にこの漫画の基礎情報を書いておきますと、お互い初情事、という場面の一時間前から直前までを描くというお話です。当然、濡れ場や猥雑は一切ない! と思って頂こうッ! な内容なので一般誌でも安心です。正直にインパクト一発勝負になりそうな漫画ですが、果たしてどうなっていくのか。興味は尽きないところですが、それはさておき。
 それではいってみましょう。今回はまたしても二本立てだよ!

CASE5『編集者と漫画家の場合』

 漫画家、ベニテンさんと編集者、井町さんの、ある意味ラブラブな、でも仕事との区切りをちゃんとしないとダメ、ゼッタイ! という中でくんずほぐれつする話。
 ベニテンさんが井町さんをラブってしまって、そして自分の担当を外れる、と聞いて原稿が手に付かない! ので、呼びつけて一気に解決しようと好きになっているとそれとなく言うわけですが、その点に関しては井町さんも同じように、いや自分の方が早くだから、このままだとぐずぐずの関係になってしまう! というので件の担当から外れる話を自分からした、というので、そんな切ないこと言うなよー、って感想を持ったり。その後はエロいことはないけどくんずほぐれつでどんがらがって、編集者が手を出したらまずいなら、漫画家の方が手を出したとすればいいのよ! という解決案へと。バカだなあ。
 でも、最後の方で、漫画を描くのをやめないでください、というのが非常にいい味わいです。編集者として、もあるけど、一読者としてずっとベニテンさんの漫画を読んでいたい、と言うのはある意味プロポーズの味わいすらあります。深い仲ゆえの味わいですね?

CASE6『宇宙人にさらわれたふたりの場合』

 宇宙人にさらわれて、おせっくすしろ! と迫られる話。前の話が大変いい話モーメントだったというのに、それを台無しにして爆発四散! というレベルの内容ですが、そのオチもまた、であります。
 話の道中はいいんですよ。いきなりおせっくす出来るかバカー! と訴えたら見た目のレトロフューチャーっぷりに比さない破壊力の光線銃で脅され、渋々するか、と見えたら、だけどやっぱりこんなの駄目だあ! と童貞が叫んでわちゃわちゃ・そこで宇宙人が対立する勢力にとっ捕まって、ともうここまででもだいぶ頭痛いんですが、その後このまま出会いを忘れることになるんだろうけど、忘れたくないな。となって、なら強く意識に残るように! とエロ行動に移っていくという、オチを迎えます。その情事がどうなったのかは分かりませんが、様子を見に入ってきた宇宙人が玄妙な顔してたので、たぶんある程度するのは黙認されたんだろうな……。という雰囲気。確かに止めるのも野暮だけど、目の前で止まらないのもどうなのか。とかもう色々突っ込みたいけど追いつかない感じで、終幕するのでした。こう出来る辺りが、この漫画のコンセプトの一つの勝利と言えるでしょう。