感想 みやびあきの 『なでしこドレミソラ』1巻


みやびあきの なでしこドレミソラ 1巻
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「和楽器、始めます!」。高校デビューとして見た目から変わってみた美弥さん。中学時代の地味さを払しょくする! とやりますが、やはりそれは空回り。そんな折、和楽器しませんか! という陽夜さんの、その和楽器の音色に癒され、興味をもって……。ということで美弥さんと陽夜さんが和楽器バンドをしていくことになるのが、『なでしこドレミソラ』なのです。
 前に水瀬るるう『ごにんばやし』<感想>もありますが、同時期に和楽器でバンドする、という方向性なのは、そういうバンドがあるからなんだなあ、と最近知りました。ある意味では和楽器バンドフォロワーなのは両者ともですが、しかし漫画には音はありません。漫画ただそれだけ音は生まれてこないのです。そこをどうするか、というので『ごにんばやし』の方は音だ! と大上段にはせず、このこたちが聞こえている、テンポが緩んで聞いているんだな、というのを感じ取ることで音を感じる漫画でありました。
 対して、この漫画、『なでしこドレミソラ』は、更に踏み込みます。音を、視覚表現で表そうとするのです。

 この画像の左上のように、流れている音を視覚的にみせているのです。これがこの漫画のありようとして一つ面白い現出をしている訳です。この表現は偶に、ではなく音が出る場所ではほぼ全てでこの表現が濃淡ありつつ行われております。音を表現する、の一つの解答。そういう言葉でくくってもいいかと思います。
 『ごにんばやし』とは違う点も、この表現を強くする一助でしょう。つまり、通常のコマ割りの漫画だからこそ、画面をフルに、横断的に使える、ということです。4コマ漫画では、相当難しいことになるので、この発案、イエスだね! と言っておきたいと思います。
 さておき。
 そういう音楽面ばかり気にしがちですが、成長物語としての部分もしっかりとした塩梅。先に高校デビューしようとしていた美弥さんが、和楽器の音色に触れてやりたい! ってなる部分も、一回弾いてそのとりこになる場面も、練習し過ぎて寝不足なんてこともあり、あるいは香乃さんが引っ込み思案を抜ける、であろうこともどれもいい塩梅。過度ではなく、でもちゃんとした悩みであり、というのでそのあたりも大変きっちりしているなあ、と。ガールミーツガールとしてもガールミーツ和楽器としても、詰めれるところはきっちり入れてくる。そういう印象を受けました。こっち面も面白いので、次の巻も買うにしくはなし。であります。と書いて、この項を閉じたいと思います。