感想 里見U 『八雲さんは餌づけがしたい。』2巻


里見U 八雲さんは餌づけがしたい。 1巻
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「今日も餌づけ作戦実施中!」。とはいえ、今の所八雲さんに餌づけした後の腹積もりというのは無さそうで、そして大和くんにもエロい気持ちとかはないようで、なのでただご飯を食べさせてあげることが主題な漫画。それが『八雲さんは餌づけがしたい。』なのです。
 ぶっちゃけますと、この関係って大和くんが野球馬鹿じゃなかったら絶対やばい方向性に発展しているに違いないんですよ。隣の綺麗な未亡人が俺の為にご飯を作ってくれる、というだけでちょっとお前脳がヤバいのか? という妄想話にされそうなレベルの事態です。そんな事態にぶっこまれて、エロい盛りの貧弱一般高校生が耐えられるわけがないんですよ。それなのに色んなサプライズも盛り込まれており、且つ八雲さんは隙だらけですから、余計に貧弱一般高校生では暴発する可能性が高過ぎる案件なのです。
 だというのに、攻めない大和くんをヘタレ! だというべきではありません。当然、野球馬鹿なところがあるからでもあるんですが、それ以上に、彼は彼なりに正しく節度を持っている、ということの証左なのです。この巻で、二か所ほどその節度が出る場面があります。
 一度目はこれくらいの怪我で死んだりしない、という言葉を飲み込む場面。どういうことで死んだかは知らない、八雲さんの旦那さんのことを配慮して、その言葉を口にしない辺り、大和くんは出来た子です。それ程効果的になるかは分からないけれど、避けるべきだろう、というのが出来ているところと言えましょう。
 二度目は、風邪で寝込んだ八雲さんを看病しに行って、その帰り際に八雲さんの近くへ、という流れから、しかし何もせずに帰るというところ。これは八雲さんが旦那さんの名前を言ったという部分で目が覚めたという部分もありますが、そこで襲い掛からない辺りジェントルですよ、大和くん。そのうえで、自分に何ができるだろう、って考えちゃう辺りが真面目です。それが変な方に向かなければいいけどなあ、と思ったりもしますが。
 さておき。
 今回の巻では塁さんはちょっと場面が少なかったです。とはいえ、大和くんの公式戦デビューということで、応援が張り切って可愛かったであります。どんだけ大和くんと野球が好きなんだろうか。あるいは分かちがたいのか、あるいは順逆自在なのか。その辺もこの漫画の今後で見たいところですね。野球が好きだから大和くんが好き、ではないと思うんだけど、本当にその辺どうなんだろうか。
 さておき。
 今回の餌づけシーンでは、ツナ缶で爆食が地味ながら理解できる内容で大変好きです。ああいうの、一缶丸ごと食べる機会って早々ないですが、だからこそあれを一人で、マヨネーズや醤油を自在にかけて食べたいという欲求は偶に生まれますヨネ。生クリーム死ぬほど食いたいとかと同じタイプの、自分でも謎なんだけど妙にプリミティブな欲求。それをダイレクトに刺激してくる回でした。ツナ缶くいてー!
 とかなんとか。