感想 野上武志 『ガールズ&パンツァー リボンの武者』6巻


ガールズ&パンツァー リボンの武者 6<ガールズ&パンツァー リボンの武者> (コミックフラッパー)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

いいか! ここでダージリン様の思惑について説明しておくぞ!(ホワイトボード打)

 ということで、今回は感想の予定を変更いたしまして、ダー様が一体何を考えているのか、と言う点についての自分なりの考えを書いて感想と代えさせていただきます。
 さておき。
 この『ガールズ&パンツァー リボンの武者』という作品において、ダー様は不思議な立ち回りをしています。簡単に言うとプロモーターですが、それだけではない何かが、彼女にはありました。戦車道強豪校に粉をかけて、タンカスロンに向かわせるダー様はいったい何を狙っているのか。そこが6巻までで積み上げられております。そして、6巻では様々な所で、これは? という発言や行動がなされています。このことから、ダー様の立ち回りがある地点に向けて集束している、とみて間違いないかと思います。


優雅を、逃げ口上にしていた、ってことかしら。


大洗以後、でありますなあ。

 では、何処へ向かっているのか。それに関してはこの場面が強く意味づけできるかと思います。


耳打ち戦法。

 何を言っていたのかはヤイカのみぞ知る、ですが、それでも一端だけ出している、<大洗>の文言。これが、この漫画のキーでもあり、また同時にダー様の狙いのキーでもある、と見ることが出来るかと思います。
 大洗。畢竟、西住みほという存在が、このダー様の企み、思惑に深くかかわっている。では、その思惑とは? これについては、一つの事実があります。


ここだけ見ると、凄いことなんだ。

 しずか姫が言うように、ダー様率いる聖グロリアーナ女学院は西住みほ率いる大洗に、二度勝利しています。
 このことがとても重要なのです。
 二度勝利している、ですが、それをダー様はどう思っているのか? ここが話に付け入る隙であります。一戦目は、まだド素人だった大洗の相手でした。二戦目は、プラウダと組んで、且つ大洗側は知波単と組んで、という混交チームでありました。
 一戦目はまだ青い果実だった大洗。二戦目はお互いこぶつきの状態での戦い。これから導きだされることは、ガチで強くなった大洗とサシで、ダー様は戦っていないということです。そして邪推するに、ダー様はその勝利に納得していないのではないか。
 大洗の今と、明確な戦いで、納得の決着をつけたい。そういう想いが、ダー様にはあるのではないか、という妄想が、私の中で膨らみました。その傍証を上のように勝手に見繕うくらいに。


コワイ!

 しずか姫からするとこんな扱いですが、だからこそ、なのではと。
 しかし、それだけではない、という予断もあります。まず、ダー様が行おうとしている試合が、恐らくバトルロワイヤルであると思われること。


歳も、そして所属も、ですか。

 そして、そうなると単純なサシの勝負ではない、ということ。これが考えるうえでハードルとして立ちはだかっていました。これがあるからには、大洗と単純に戦えない。では、どういう思惑であるのか?
 その疑問を解消したのは、3巻のこの一枚であります。


このお顔ですよ。

 わりと鉄面皮で冷静で優雅なダー様が、興奮しているその姿。これを見て、ピンときたのです。
 単純にサシではない、というのが実は重要であったのです。タンカスロンの魅力、戦車道にはないその魅力を、ダー様はバトルロワイヤルの形で誰が一番強いのか、という命題の回答が可能と見たのではないか。そうなると、この一コマも重要な意味を持って立ち上がってきます。


仮面、ってことは。

 こいつ、オレンジペコさん達を露払いにする気か……! というのがありありと、ダー様がしたいことが分かった後では見て取れる訳ですよ。成る程、所属も歳も関係ないと言い出したのも、一番強い奴が勝つ、という少年漫画ノリなのだな、と。でも、そうなるならこちらはオールオッケーですよ。誰もが思う、一番強いのは。その回答ですよ? 好物でないわけがないと。
 しかし、大洗は招聘出来たのか?その点がここで疑問として立ち上がります。それがなければ画餅です。
 その点については、この6巻最後の話に答えはあります。


やはり、ここはこの名前ですよ。

 ユカリ。もうこれだけで大体分かった、と門矢士感です。そもそもそれがなければ、ヤイカへのあの言葉はない、とも気づきますけれど。
 ということで、大洗招聘もなったのが分かり、つまりダー様の納得も恐らく成るのだろう、と思いますよ。これを狙って、今まで粉かけていたという事でしょうし。
 しかし、そうなるとこの漫画の到達点はこのバトルロワイアルに結実するのか、とも。ダー様としては確かに一つの区切りですが、主役であるところのしずか姫と鈴さんとしては、そこが望む場所なのか。そういう意味では、この漫画の大きい地点であっても、最終地ではないのかも。だから、このダー様の思惑の成りの結果がどうなるか。見所であると言えましょう。

「結論? そうねえ、ダー様は納得の勝利を手に入れたい、でいいんじゃないの?」
「そうですね」