ネタバレ感想 eno 『アメイジング☆あめいじんぐ』


アメイジング★あめいじんぐ (ガムコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「特殊能力があったって」。ある日突如として特殊能力に開眼した軽江るぅさん。その力を世界の為に使ってみないか! と勧誘され、ヒーロー集団<アルティメットリーグ>に加入することに。そんなるぅさんのヒーローとしての活躍などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。というくらいにヒーロー活動があまりに特筆すべき点がない。ただの変わった女子高生の日常。それが『アメイジング☆あめいじんぐ』なのです。
この漫画の世界観というものは、ヒーローがたくさんいて、ヴィランもたくさんいる。そして生活している。というもの。その中でちょっとした超能力持ちの女子高生集団<アルティメットリーグ>は、基本的にはヒーロー活動したいけど、ちょっとしたお役立ち集団というくらいの活躍しかできない、というのが描かれるわけですが、そうなるのもむべなるかな。という面々の能力の微妙さであります。そもそものるぅさんが10㎝浮ける(その後、トラウマを得つつももっと高く浮けるように)という程度の能力で、それでヒーローが出来るわきゃないわ! と言わざるを得ません。
そんなもんだから、特段にヴィランと戦う! というものではなく、普通の生活にヒーローな要素とか能力の要素がぶち込まれることによるケミストリーがこの漫画の肝となってきます。特に<アルティメットリーグ>創始者にして筆頭の星見リカさんのコスチュームにお金をかけすぎてしまっているネタは鉄板です。お年玉が(制作資金で)消えたーとか、スーツの為にバイトとか、この漫画のヒーロー要素の一番がそれ、と言える状態です。基本、女子高生がわちゃわちゃする、女の子わんさかコメディだからしょうがないね。でも、そのヒーローと能力の要素が混ざったタイプというのは大好きなので、これも美味しくいただきました。ドタバタするだけで特に世の中に貢献しない! いいじゃない!
と言いつつ、最後の方でるぅさんのその真価がよくあるタイプの超能力発現隕石で発揮されたりします。るぅさんが隕石の効果で、全くやる気がないるぅさんと、やる気のあり過ぎるるぅさんに分かれてしまうのです。そして、やる気のあり過ぎる方が超能力をばんがばんがと使う、ということになる訳ですが、個人的にはるぅさんはあんなやる気がない側面があったのか、と。一見普通のお嬢さんに見えていた今までを覆す発見といいましょうか。そーなのかー。
さておき。
この漫画、結構短命だったからなのか、色々と謎が残っていたりします。その筆頭はヒーローのナイトフード。覆面にローブまで付けた布重装備なこのヒーローは一体誰だったのか、というのが明かされないまま終わってしまいます。個人的にはるぅさんの友達みっちゃんがそれ、というよくあるネタではなかっただろうか、と勝手に思っているんですが、それを証明するネタは特になく、ただ展開的にそれだったら膨らませやすいだろう、程度のメタコード読みでしかないんですが、単行本でのキャラ紹介にみっちゃんとナイトフードが同じページに、というので余計にそうなのでは、と邪推が止まりません。そのネタをするつもりがあったからの同席なのか、単にスペースの都合なのか。どうしてもメタコード読みしてしまいますよ。それだったら面白い、と言う展開も出来ただろうし。
さておき。
最後にどうでもいい話をすると、ヴィランのネーミングが大変いい具合なのが、とても良い点として挙げられる漫画だと思います。個人的には<マスターニューイヤー>と<クレイジークレーマー>が語感が良くて好き。どっちも単なる普通の人のムーブでいい、つまり特に特殊能力要らなそうなのも含めて味わい深いです。能力微妙の<アルティメットリーグ>が相対するには相応とでもいいましょうか。そういう加減が、いい漫画だったなあ、とかなんとか書いてこの項を閉じたいと思います。