今回のまんがタイムきららキャラット三作取り上げ(2017年7月号)

承前

まんがタイムきららキャラットから三作を取り上げて、それぞれについて感想を書くという試みです。たまに数が増えたり減ったりする予定ですが、まあそれはそれという事で。
選ぶのは好きな作品。その定点観測としたい所ですが、それでもほぼ自分の趣味が全開になってしまうでしょう。これ、と言う作品のが最終的に出来る場合も考えられますが、それならそれでいいかなあ、程度のゆるい縛りで行こうかと思います。
それではいってみましょう。

伊藤いづも『まちカドまぞく』

シャミ子のもつ実質の能力。それは無意識に潜行する! というもの。それを使って、自身の病院時代の記憶に潜ることになったシャミ子を待ち受けていたのは、なんか点滴を釣っているあれ! つまり苦しかった時代の残滓に追い回されるシャミ子を助けたのは……。
ということで、今回はシャミ子の能力をさらっと深めつつ、桃さんの姉、桜さんの残滓が参上! となりました。この出す時はさらっとだすテクニック! と唸り声が出るばかりのいい登場の仕方。流石にヒーローは遅れてやってくるってやつをリアルにされた感はありますが、まあもったいつけないと印象に残りませんからね……。それにしても、シャミ子さん、病院時代は相当辛かったんだなあ、というのがその時代のもやもやとしたものが爆盛だった時点で分からされる訳で、そのテクニック! と唸り声が出るばかりの仕上がりでした。こういうところ本当に見せる漫画になったよなあ。いや、シャミ子さんのおとんの時点で分かってたことではあるんですが、再確認です。
で、桜さん。その言動からして、シャミ子と不可分に繋がっているっぺれえ、桃さんがシャミ子さんの世話になったり世話したりしているのを知っているからなあ、というので、色々と大変なことが次回でも明らかになりそうな雰囲気。ご先祖経由で桃さんもシャミ子さんのもとに向かっているかも、なので無意識の中で感動のご対面、という流れになりそうです。これは一筋縄ではいかないぞ……!

カヅホ『キルミーベイベー

幽体離脱しようぜ! お前ボールな! という回。
やすなさんのトンチキ発言は今に始まったことではないのですが、空を飛びたいまでは理解できても、幽体離脱すればいいんだよ! から謎の薬を手に入れるまでの思考の流れがてきめんにおかし過ぎてヤバいです。流石のやすな脳というか、そもそもその薬どこから……。という案件です。そして、実際に幽体離脱をする、という状況まではまだ良かった、色々ダメだけど良かったものの、霊になってソーニャちゃんの体に入ったら入れ替わっちゃった! という『すわっぷ⇔すわっぷ』案件から、最後の勢いつけて頭をぶつけたら戻る! という謎確信の末路が怖く。じわっと倒れた体の頭から血が広がってフィニッシュ! というのでカヅホ先生の闇を見た気持ちにさせられました。最近この漫画もすることがきわどいですが、でも次の回では全くその辺フォロー無しでとんちき展開しているので、それも含めてこの漫画の将来が心配です。いいぞ、もっとやれ!

みらくるる『メイドさんの下着は特別です。』

朝ー!
ゲストはあまり取り上げないこの枠ですが、この漫画のパワはちょっと常軌を逸しているので書いておこうかと思います。女の子が、メイドで、までは誰しもの受容体に嵌るものがあるかと思いますが、これにランジェリーが目立つメイド服、というかほぼそれはランジェリー! という変化し過ぎて殺人コースの球筋になっている、と書けば何が何だか分からないでしょう。やられたこっちも良く分かってません。ただ、女の子で、メイドで、ランジェリー! というのがエッジが効きすぎて単なる刃物としか言いようがない作品となっているのが、この『メイドさんの下着は特別です。』なのです。
今回は、そんなランジェリーメイドという素っ頓狂を越えて単に狂人の戯言レベルのことを世界に広めようとする一人の女性の並々ならぬ決意というか脅威が示される回であり、更にその一人の女性が女の子の体を、おっぱいを、腹を、触りまくるというまさしく桃源郷なのだけど初手の発想がおかしくてちょっと嬉しいって気分が出てこないという回でもありました。そのランジェリーにかける重いじゃねえ想いがどのようにして生まれたのか、というのも示され、成程、頭がおかしい。気持ちは分かるが! 分かりまくるが! と書くと自分も変態っぽいですが、本当にそれをそうあれかしと思うくらいには、そのランジェリーメイドのきっかけは素晴らしい物でした。共有してくれてありがとう。
しかし、今回の主点はそこではありません。そこなんですがありません。この漫画の良さ、というより個人的な趣向とかみ合った場面があったのです。それがこのおかしい館にやってきた蘭子さんの、お腹のお肉をぷにっと掴まれるシーン。そして、その少しつまめるお肉もまた至上! と言われるシーンです。そうなんですよ! スレンダーで締まった体もいい。でも、ちょっと肉のある体もまた、素晴らしいのですよ! 分かってるなあ、この人! ってなったんですよ! あまり同意を得られないのは知っていますが、もうそれだけで、この漫画を応援したいという気持ちが高まりました。ある意味一発ネタなんですが、それでもやってみたらどうなるのか。その行く末が見たいと思う。そんな初夏の夜なのでした。