今月のまんがタイムきららチェックポイント(2017年8月号)

先に総評

今回の号の重要点は、やはり湖西晶『〆切ごはん』最終回。4年ちょいの連載でしたが、きららの最後尾で雑誌の締めとしてきっちりとした仕事をしていた漫画だったかと思います。その終わりは、サイレントを駆使して小刻みに事態が展開する、見ていて飽きないテクニックを見せてくれました。流石に歴の長い漫画家さんは違うと思わせるものでした。これがもう見られないのか、と思うと一抹の寂しさがありますが、すぐに新連載でご帰還なされる、ということなのでその最新作を期待して待ちたいと思います。
しかし、もし『〆切ごはん』が最後に無かったら、と思うと少しおそれがはいるのが、最近のきららのゲスト事情。今回の号も後半にがつんと固まっていますが、正直似たり寄ったりで、頭一つ抜けるものが無いという印象があります。こういうのが乱打された後にくる『〆切ごはん』は、だから大変ありがたかったんだなあ、と無くなると分かってから気づく体たらくです。とにもかくにも、連載お疲れ様でした。そして新連載頑張ってください!

個別チェック三連弾

  • 川井マコト『甘えたい日はそばにいて。』
    • この漫画のシリアス度合いがきらららしからぬ感じになってきておりますが、そのおかげでひなげしさんの浮足立ったりする場面の良さ、可愛らしさと言うより良さ、がくっきりと像を成します。でも、それゆえにアップダウンが激しく、且つ楓さんがあんまり積極的に動くタイプじゃないので存在感が薄れかける場面があったりするのが、今後どうなるか、な部分であります。今回は更に濃い花凛さん(アンドロイド)が登場して更に場の混乱具合が加速してからの、最後の展開だったので、尚更楓さんがもうちょい押しだしがないと濃い軍団に埋没してしまうなあ、と思ってしまうのでありました。そして次回が結構重要そうです。楓さんの真価が問われそうな、そうでもなさそうな。
  • 文月ふうろ『オリーブ!』
    • リリィちゃんのある一日。くそぁ! 可愛いんだよ、リリィちゃん! というくらいに色々可愛リリィちゃんの行動に胸がキュンキュンするという古式床しい気持ちになる回でした。軽音部のコスプレ暗黒魔境の罠にはまったリリィちゃんはどちゃくそ可愛かったですヨネ。最後に定番のもうこりごりなのだ! するのも含めて、この漫画に一気に馴染んだリリィちゃんなのでした。それにしても、この漫画も安定してきておりますなあ。メイン四人が案外癖があって強固だから、そこに軽く絡ませるだけでも音が変わるんですよ。わりとがやがやと騒がしい回だったんですが、それでいてただの登校風景みたいな吐く息白いのをエクトプラズム、ってやるある種定番ネタをきっちりと仕込んでの緩急とか、本当に味わい深いです。いい漫画になったものだ。
  • 華々つぼみ『きらきら☆スタディー
    • み、神輿だー!? ということで、乙十葉さんが神輿でわっしょいされる回でした。こう書くと割と意味不明ですが、絵で見せられてもわりとナンデ!? だったのでこれでいいのだ。にしても、真零ちゃんも満さんも祭りだぴーひゃらの環境で勉強できるって、ほう、あの音で勉強できますか。たいしたものですね。という謎眼鏡の発言するくらい、大したものだと思いました。いいんちょは全く出来るわけない! ってなってたのも印象的。オタ化してそっちに注力し過ぎてしまう、どっちか一方しか向けないという部分は、こういうどっちかどっちか、の場面にも表れているのかなあ、とかなんとか。

今月のワンワード

ちょっとだけ食べよう

  • ある意味では、この漫画の食というものが、そういう小休止というか、ワンテンポとしてあったんだよなあ、という妙な感想が出る一コマでした。その後のガッツリ作っちゃった、も含めて、この漫画らしいなあ、と言う終わり方だったかと思います。