『まんがタイムきららミラク』2017年10月号 感想

今号の巻頭漫画感想

タチ『桜Trick

万感を込めて、ありがとうと言いたいです。そういう言葉はいうだけ野暮な風でもありますが、しかしきららミラクがこの漫画を完結できるまで続いた。というのは本当に得難いことだったなあ、という気持ちでいっぱいです。特に終盤は怒涛の攻撃だった分、この回は爽やかに終わっていく、というのが大変に沁みます。しんみりしそうなところを、いつものノリで軽快に、でも〆るところではきっちりと、終わるんだなあ、という印象をきっちり入れてくる。法外の最終回だったのではないでしょうか。春香さんと優さんの間には、また色々と問題が起きてくるかもしれない。でも、この繋がりは切れたりしないんだろうなあ。最初の場所でする深い思いのキスは、それは今後も続くんだろうなあ。と感じさせるに十分なものがありました。もう、この世界には漸近できませんが、だれもが幸せになってくれたらいいなあ、そういう妙に幸せを感じる最終回でありました。タチ先生。本当にお疲れさまでした。次回作がハードル高そうですが、やってやってください。

個別チェック三連撃

あfろ『mono』

部員足りんから廃部な。というこの手の部活ものの王道ワーク! でも、文科系ですので、いきなり、優勝旗がここにあったらどうしますか! みたいなことにはなりません。なので素直に廃部ですが、そこに手はあるのでは? と紹介されたのが映研。ここも廃部必死の状況で、人数取りに行ってみたらいいじゃね? ということで来たらわりといいよと即決する映研の敷島さん。ここで独特の間合いをもった方だとわかりますが、周りがタコにカメラつけて、と映像関係をするのは、それはそれで楽しいと思ったようで、映研と写真部を合体させることになりました。幽霊部員もいましたが、どうせ来ないしいいだろう、と。そういうところ割と雑でいいものがあります。
映像の方も上から見下ろす式の結構変わった絵でよかったです。この辺で手を抜かずに変わった絵を、というのはいいものであります。

うちのまいこ『ななつ神オンリー!』

胸が小たいとはいえ、あの巻きはちょっとどうかと思いました。でも、見えたら問題があるのはしょうがないからね……。でも、ちょっとは見たいですよね……。
しかし大黒天さんはだいぶ態度軟化したというか、やるといったらやるタイプですヨネ。小さい動物扱いでいいよいいよー、してたりしますし。小さければいいのかあなたは。
で、秋祭りかー。祭られるほうが祭るってなんか倒錯勘すらありますなどうなっていくやら。

ちろり『お願い!ロイヤルニート

ドレス。それは庶民には高根の花であり、羨望の的。そして今、ほたるさんはお嬢様学校にいる! そのドレスの園に! ということで、ほたるさんのドレスを考える会発足。ロイヤルニートの思考なので、お嬢様というフィルターを入れてもおかしいものが出来上がりました。ほとんどガンダムです。
で、着た感想は? との問いに。
そもそも動けません。という回答がなされて、ああそりゃロイヤルニートだもんなあ。という謎の韜晦が発動するのでした。あの子たち、皆引きこもるというか学校行かない理由があるだけのことはあります。それ以前の問題かもですが。

今号の巻末漫画感想

まえじま『となり暮らしのねこめがね』

ヒトの側面というのはたくさんあります。という話。特に金言として言っているわけじゃなく、さらっと違うとこ違うよね。というのを提示するだけのムーブが素晴らしく決まっています。その人の感覚で捉えるものは、他の人のそれとは違う場合だって当然ある。というのはなんか得心してしまいます。
しかしモブじゃなくて、のところでちょっと自分の中で情感が沸き上がって妙なフォローになっているところ、素晴らしいですね。あわあわ照れちゃってもう。

一応の総評

今月号について語るとしたら、それは最終回の多さでしょう。先に書いた『桜Trick』の大大大団円、流れ的にさもありなんな部分もある『ラストピア』、そして、えっ!? まだ全然出来るんじゃないですか!? な『ビビッド・モンスターズ・クロニクル』。これはかなり今後の誌面が変革の胎動を始めたといって過言ではないかと思います。不安は当然ありますが、これでまた新しいパワーが見られるのかもしれないと思うと、やれ頑張れ、やれ頑張れ。そう応援したい気持ちになります。『まちとびカルテット』もいい球ですし、『空想ガール。』はいい不可思議球だし、まだまだミラクは楽しい状態を続けてくれると思います。と希望的観測をして、以上!