ネタバレ感想 内藤泰弘 『血界戦線 Back2Back』3巻


血界戦線 Back 2 Back 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「大型ヴィラン誕生!」。突如現れた世界崩壊幇助器具<ナクトヴァの微笑み>。それを巡り、衝突するライブラとヴィラン! というのが今回の内容となっています。ある意味久しぶりに世界レベルでの危機であります。
今回登場の大型ヴィラン、キュリアスも、世界崩壊幇助器具が受肉して生まれたという相当に魅力的存在で、内藤先生も楽しそうだったんですが、それよりもその露払いにされてしまった次元怪盗ヴェネーノが個人的にはお好みでした。黒コートにシルクハットの紳士然とした立ち姿に何でも断ち切る次元刀斬法のハッタリ具合。追跡時に使ったギミックの格好良さ。相棒はこれまた時空を入れ替えれる能力持ち。これだけで十分のネタと言えるのに、それをあっさりと使い去ってしまう内藤先生はやはりやり手ですが、もうちょっと活躍見たかったです! あるいは、そのあまりにあっけない最期、キュリアスに接触して超急速に経年してしまうというのがこの気持ちを増幅しているのでしょうけれど、でもねえ! 勿体ないですよ、あれだけのキャラ立ち具合で!
さておき。
キャラ立ち具合というと、久しぶりに意味ありげに登場したうさぴょんか、……堕落王フェムトは大変良かったです。キュリアスと相対する理由が、<ナクトヴァの微笑み>ではなく世界崩壊幇助器具の受肉した姿であるキュリアスにあったり、初めてバトル的行動で時間を加速させる相手に互角とか、やはり石田彰声なだけはある、という格を見せてくれました。フェムトはやればやばい子! というのが確認出来たかと。そりゃ皆こいつ厄ネタにするわ。
さておき。
今回の巻において抜群に尖っていることは、世界崩壊幇助器具という大ネタからのその受肉体としてのキュリアス登場からのその退場でしょう。え!? もう退場するの!? という思わず叫んでしまうくらいにストン、とキュリアスは退場してしまいます。ヘルサレムズ・ロットにある向こうの世界とこっちの世界を繋ぐ永遠の虚へと、ヴェネーノの仇討の形で落とされてしまうのです。この辺の、流れの妥当性の高さは本当に驚異的で、成程そうなるよな、という理路を完全に踏みしめて土台作りを為しているのが本当にもう。流石とはこの為にある言葉ですよ。というか、これだけセンセーショナルな内容がこの1つの巻に収まりきっているのが奇跡的です。でも天運に任せたものではなく、人の力、内藤先生の力で行われたことなのが、本当に尊いです。これぞ尊みです。
さておき。
今回のライブラの動きというのも、大変極まってきている感じです。明確に物理で殴る組と後ろでフォローする組で動いたからもありますが、それぞれの能がきっちりかみ合って、最後へと向かっていったのが印象的でした。今までわりと武中心の話が多くて、上手く職能が絡まった回って少なかったんですよ。レオとかチェインさんとか、単発ではありましたが武と絡まる回というのがそうなかった。そういう意味では、今のライブラの力というのがしっかりと出た回であり、巻であったと言えるかと思います。またこの漫画が一皮むけた、とも言えますでしょうか。というか、どこまで登るんだ、内藤先生。
とかなんとか。