ネタバレ感想 高橋慶太郎 『貧民、聖櫃、大富豪』2巻


貧民、聖櫃、大富豪(2) (サンデーGXコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「いよいよ、キャスティング完了」。ということで、この聖櫃を巡るキャストが全員が出揃った2巻なのです。
しかし、このキャストの多彩ぶりは中々です。とうとうロリっ子も出てきましたよ。その御使いはミダス王というこんちこれまた。その上で更にそのロリっ子が昔から聖櫃を巡って争っていた一派の末だったりで、更に更に大金持ち。しまいには商才もござる。なんだこの強力な圧。もう一人、1巻で出て2巻においてはフワさんと一戦交えるヒューさんの存在感が薄れるくらいにぶっ飛ばしてきます。ヒューさんも色々と積み上がっているんですが、ロリっ子のインパクトが強すぎました。相手が悪いというのはまさにこのこと。ロリっ子とヒューさんはまだ一戦も交えてないですけどね!
という戯言はさておき、この漫画の様相、というのが2巻でかなり見えてきました。革新派役人の安倍野さんが作った場であるY-SACで、如何に金を集めるか、という方向に舵を切ってきています。そして安倍野さんの思想、というのが完全なる管理経済。そこに人という不確定要素はなく、全て金を稼ぐものに向かうというのを安倍野さんは画策しています。その為の聖櫃の奪い合いでもあるようでありまして、それに対して他の面々がどう動くか、というのが今後核になっていくようであります。
その中にあって、聖夜さんはわりと真面目に事業を拡大していく方向です。事務所も手に入れ、ここから始まる、という格好になってきました。バトルの方が金があるだけ有利で、安倍野さんとかヒューさんとか、ロリっ子とかフワさんまで潤沢な資金を持っている状態なので、聖夜さんがどうにかするにはまず金を稼がないとどうしようもない、という世知辛さがにじんでいます。それにヒューフワ戦で、ヒューさんの御使いがヒューさんの100億くらいじゃ足りない的発言をしており、どんだけ金かかるんだよ、この戦い! と思わされてしまいます。だって100億ですよ!? 億単位ですよ!? それがあっさり溶けるってことですか!? ということで、聖夜さんの事業がどれだけデカくなればいいのか全く分からない辺りが、この漫画の底知れなさを感じさせてくれます。特区だけでどうにか、なるか。最近の高度情報化社会なら。ある意味、今だからこそ出来る漫画なんだなあ。
さておき。
個人的に今回の良かったシーンは、フワさんがヒューさんの篭絡を突っぱねたシーンと、先ほど軽く触れた安倍野さんの人という不確定要素のない完全な経済発言ですね。前者はどうなるか分かりやすいいいシーンですが、後者は逆にどうなるか分からないが故に魅力的なシーンです。「経済は戦争よりよっぽど凶悪なの。」はけだし名言です。が、それ故にこの漫画の着地点が全く未知数になった瞬間でもあります。それが描けるのか、高橋慶太郎! という内容でありますから。本当に、この漫画がちゃんと決着するまで弛まず見続けたいと思います。と書いて、この項を閉じたいと思います。